第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
悟がにこにことしながらライトアップされたガラスケースの筒状の紙の楕円形の箱にお菓子を詰めてある景品を指差してる。筒状のお菓子ならコツを掴めば取りやすく、一年の皆と行ったゲームセンターで乱獲してた。
三本立ててあり、真ん中と右端は立ててある筒の上に横置きで筒状のお菓子が配置されてる。左端は下に落ちてるから誰かチャレンジして失敗した後みたいで。
……ふふん、奥にも陳列されてるし取らせて戴きますわ、とお金を入れて操作を始めた。
「二個取りしてっ!二個取りっ!」
『距離が難しいからそれはムリ、けど簡単だから二宮金次郎ばりに薪みたいに背負って帰るレベルで取り切る自信しかない。炭治郎みたいな、背負うやつ探してきなよ今ならブームもあって売ってるかもしれないよ』
ボタンを押して奥へと進むクレーン。次に横移動のボタンへと変えた。
押してる間にきゅるきゅると大きな効果音を上げてる。だから皆声を大きめに話してるってわけだ。遠くでの話し声、ゲラゲラ笑ってる声とか聞こえる。そんな中いつもの声のトーンで突っ込んできた悟。
「えっいくら僕がお菓子ソムリエでお菓子スキーでも同じモンばっかは流石に飽きるよ、独占禁止法にも引っかかりそうだから一種類ずつで良いんじゃね?」
『……そういう所だぞ?』
ボタンをぱっ、と離し開いたままのクレーンがゆっくりと降りていく。
爪が楕円のパッケージの上を滑り、重心を崩した上に乗ってる景品が滑って景品口へと落ちていった。
『どっやー!』
「わーっ!ありがトン!引き続きあと二種類獲得してくれたまえ!」
『しょうがないなあ、では取らせて戴きますわっ!』
……もうひとつを滑らせて取って、店員さんを呼び、初期位置と補充からの目当ての残りの一種類を取って。
片腕に三本の景品を抱える悟は、もう片手で私の手を掴んでゆっくりと店内をきょろきょろと見て回る。
「ハルカにあって僕にないものだよねー、僕学生時代では傑とか硝子に取って貰ってたもん。それでもあいつらより取るのが上手いのはハルカなんだけれど」
『これを褒められてもねー。別のなにかが優れてれば良いんだけれど。式髪もリスクなければ良かったけれどさ…』