第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
顎でくいっ、と近場のゲームセンターを指す。
呪術でも体術でもなく、こっちで白黒着けさせてもらおうじゃないの。顎でしゃくり彼を挑発した。
『来いよ、悟。呪力なんか捨てて掛かって来い、エアホッケーで三タテしてやんよ』
「コマンドーかよ。僕ベネットじゃねえんだけど」
時々スーパーの中にあるゲーセンでエアホッケーをして、料理当番とかお風呂当番とか決めたりして遊んでる。だから今回はそれらで勝負して悟を負かしてやろうって考えた。
別になにかして欲しいってわけじゃなくて。普通に太ると聞いて運動するか…!ってなっただけで。結構運動できるし、楽しいし。ただ苦しい苦しいって走ったり、痛い思いをしながら技決められたり投げられるよりは楽しんだ方が絶対に良い。ちょっぴりお金は掛かるけれど高額でもないのだし。
私の提案を聞いて悟はちょっとぶりっ子モードになりながらちょっとくねくねしてる。やめれ……?
「やっだぁ、自分の土俵じゃーん!さとるん、エアホッケーよりパンチ力測定がいいな~!負けた人が勝った人の、興奮すると硬くなっちゃう所をぺろぺろするのとかどーお?」
『興奮すると硬くなる?えっ、悟ったら拳なんか舐めてどうすんの?口内パンチ?ハルカ、わかんなーい』
「キミって戦闘部族ぅ?」
『殴るぞ??口内パンチじゃなくみぞおちパンチでバイバイキンするぞ?』
お腹もいっぱいでしかも制服着てるけれど……いざ、参らん我らが戦地へ…!
と、悟の差し出された手に手を重ねて、近場のゲーセンへと足を運ぶ。近いし、駐車場から車を移動しなくても良いし。
自動ドアが開けば、賑やかで様々なゲーム機の情報量の多い音が聞こえてくる。それはもはや雑音で。
入ってすぐ、悟が手を引っ張ってクレーンゲームの方へと足を進めて行く。指先で進行方向を指してご機嫌そうな表情だった。
「ハルカ軍曹っ!こちらゲーセン限定であります!でっかいお菓子だよっキミこういうの得意でしょっ!悟クン、ほしーい!」
『隊員か女子高生かどっちかにしろい!……まあ、取れなくも、ないけど……』