第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
196.
東京、某所。出口から赤い暖簾を潜って私と悟のふたり、外に出た。さっきまで醤油やらごま油香る店内から外に出れば清々しいほど爽やかに感じる。
それでも都内よりは、少し前にいた森や高専の方がもうちょっと空気は良いんだけれど。
『ラーメン超美味しかったーっ!体感、私だけ午後三時くらいだもん、めちゃめちゃお腹減ってたから余計に美味しすぎてチャーハンまで食べちゃったよ……』
うーん、と伸びをして、自身のお腹に手を当てる。
呪物を使って移動してた分の時間も合わせればとっくにお昼なんて過ぎてた。私だけ今日が二十四時間以上の一日を過ごしてる…多分、二十七時とかそんくらいかな……その余分な時間の中で移動したり、呪いを祓ったり……夏の暑さと睡眠不足もあってぶっ倒れたり。
極めつけは野外での行為。
塀に両手を着き、ガクガクとしながら最終的に手だけじゃなく上半身を塀に持たれて背後から突き上げるような、いつもよりも激しいあの頃の約束を受け入れていた事。
全てが終わった、という事で互いに疲労した状態(いや悟そんなに疲れてないかもだけどさー…)しっかりと食べたいね、と話し合ってのラーメン店。
空腹は最大の調味料と誰かが言ってた。
その通り、がっついてしまってラーメンを食べた後に少し悩み、悟を見て『自分、チャーハンイイすか?』と真顔で言ったもんだよ。「食べられるなら普通に食べれば?」と許可してたけど。そのくせ、私が完食してるのを見てマジ?って驚いてたのにはいいって言ったじゃん!とも言いたい気持ちになる。水と共に流し込んだけど……。
にこにことした悟もしっかり食べてる。自身のラーメンを食べた後に追加注文のチャーハン、横から数口分拐って食べてたし。
「いっぱい食べるキミが好き~♪大きなひとくちーってね!よく食べるよなーって見てたけどホント、良い食べっぷりだったねー!そのお腹、僕の子身籠ってる?妊娠何ヶ月ゥ?でんでん飯は太るよ?デブの元っ!秋場所出場かなあ?」
『っほーう?喧嘩を売ってらっしゃる?……よろしい、クリークだ』