第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
「お昼だし、ご飯食べに行きつつこの際だからそのままデートにいこっか!」
『いくらなんでも先生がバックレ推奨なんてどうかしてない?』
へへっ、と彼の職業と今やってる事の矛盾に可笑しくなって笑みが溢れる。悟もちょっと気まずそうに笑った。
「じゃあ、昔のヤンチャな悟君だと思ってよ。あの時の僕はハルカをもっと知りたかったんだ。今の僕は充分オマエの事を隅々まで知ってるつもりだけれど、もう一度おさらいしたいの。
……ほら、あの時みたいなキスしようぜ?今度会った時ってオマエ、言ったろ?それ以上の事も今夜、な?……約束は果たせよ?」
さっきまで会ってた高専時代の悟みたいな意地悪な笑みを浮かべ、あの時よりも上手な、今では負かされっぱなしのキスを受けて。
そのままにじり寄る悟に押され、私にとってはほんの少し前の、悟にとっては10年以上前の時の様に塀に押さえつけられて息も出来ないような激しいキスを交わした。
煩いほどの暑苦しい情熱的なセミの鳴き声ではなく、静かな秋の昆虫の鳴き声。角度を変えて呼吸も荒く口付けは夏のように激しく。
『ん、っ…ぁ、ふっ……ん、』
さっきは攻めて攻められてのキス。今は敵わない程に気持ち良いキスを悟としてて頭がくらくらしそうな中、密着した体、ぐり、と押し付けられるものに理解をして。
唇から唇を繋ぐ透明な糸を垂らしながら、彼は熱っぽく笑う。
「…っはぁ、ハルカ……っ、やっぱ、夜までは待てない、かも…っ!」
汗も引いた中、腹部を弄る手。それはすんなりと胸に辿り着いて。手付きはぎこちないわけじゃなく、的確だった。
「ここで、してく…っいいだろ?ハルカ。もう俺との任務も、僕からのお願いでもなく。五条悟としてオマエ…、ハルカを愛したいんだけど、」
縋るような、いやサングラスを外した瞳の奥の熱。見つめ合えばそれだけで腰が砕けそうになるくらい色を込めていて。
……こんなのを誰が断れって…?
ここは外。本当なら嫌!と断っていたのに。私も今の悟が欲しくてたまらなくて。絞るような声で悟に『いいよ?』と言えば掻き抱くように山奥の屋敷の庭でそのまま…。
……服を乱し、終わった後はしばらくきつく、ふたりで抱きしめ合って。そのままで数十分過ごした。