第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
「……最後に言い忘れたけどよ。オマエの事が好きだ、ハルカ」
『私も。今の悟も、昔のとんがった悟があってこそ。昔の悟も今の悟も、これからの悟も。大好き、だよ』
ふふっ、と笑うと表情が完全に崩れて照れたみたいに笑って。
「……もう。そういう所、ハルカには敵わないね、僕は」
『おやぁ?高専時代の伝言サービスは終了?』
「……ん、終了だよ、もう。せっかくキメて告白したのに。でも今更告白した所で付き合ってるの最上級、結婚しちゃってるもんね、僕達」
視線が私の右肩に行ってる。そのサングラスの向く先は悟自身の薬指。
あの時、指輪について聞かれた時の質問にのらりくらりと悟自身だよ!とか恋人だって言わずに、指輪の相手を大事な家族とか言ってた事もぜーんぶ記憶されてる。昔の記憶が先程作ってきた思い出、一気に恥ずかしくなってきた。
『あの…さ?指輪の貰い主についての記憶は……忘れて貰っても?』
言い過ぎた、と思ってダメ押しで頼むも、悟は舌を出し、高専時代の彼みたいな態度で「やなこった!」と意地悪な笑みを浮かべた。駄目だ、しっかり記憶されてる。
「……まあ、家族って言い方されたら親からのプレゼントって思うけどさー?あの場ではハルカの言い方は正しかったよ。恋人って口に出してたら僕はハルカに協力はしなかったかもだ。無理矢理にも犯してただろうし。
でもさー…僕達は確かに家族でもあるけど。まだ夫婦、でしょー?」
くすくすと笑いながら少し屈む悟。
「……オマエが何事もなく無事に高専を卒業するか、僕の忠告を無視したの危険な目にあった場合にそういう事は考えていこうね?」
『はい……』
両肩の手を私の両頬へと当てる、目の前でにっこりと笑う悟。