第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
にこやかな悟は真剣な顔になって私の空いた肩にもう片手を置く。両手が乗せられている。逃げられないように、というよりも真剣に目と目をしっかりと見て言いたいんだってどうしてかそう思ってしまって。
……じっとサングラスの上部から覗く青い目はどれだけ月日が経っても変わらない。美しく、透き通って心の奥底まで覗かれているみたいでどきどきと緊張する。
真剣な顔つきは大人である彼のハズなのに何故だろう、さっきまで逢っていた顔つきに見えた。
「俺の初恋もファーストキスもオマエだ。最後まで俺の事をさんざんに振り回して逃げやがって……。次俺に会う事があったら約束は果たして貰うかんな、キス以上の事させるって事のハナシをさ。覚えてんだろ?流石にさ?」
『……うん』
キス以上の事は大人の悟とはたくさんしてる。でも若すぎる悟とするのはどうしてかしたくなかった。例ええっちをこの場所でしたとしても記憶は昨日まで封じ込められた(きっと時間がないからだって思いたい)
その約束をしたからこそ。きっと今夜はその約束が果たされる。
昨日のえっちはなんだかねっとりと激しくて寝不足になる程だった。それは彼が一方的に記憶を隠しての欲や感情を込めての事。それが互いに暴かれたのなら今晩は……。
私は顔に熱が集まるのを感じた。そのままに大きく頷く。
『私が約束したから。約束は守るよ』
「ま、それはアタリマエって話。今夜、覚悟しとけ。二度と俺の前から消えたく無くなるように抱いてやるからな」
フン、と鼻で笑って肩に置かれた両手がぎゅっと力が入った。制服の衣擦れの音がギュウ、と痛々しい音を出してる。
「それからだ、指輪をくれたダイジな家族の元に帰ったんなら絶対にそいつから離れんじゃねえよ?もっとも、そのダイジな家族ってのは俺なんだろうけど」
『うん。離れないようにする』
頑張ってあの時の顔を作ってんだな、と感じる。頷く目の前の悟はいつもの彼のように優しい笑みを浮かべ、慌てたようにキリッ!と表情を作り直して。