第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
──居なくなる
それが妙に引っかかった。普通なら帰るだとかそういう言葉を使うモン。
わざわざ呪物をひとり探しに来るのも変だし、引っかかるものを疑い始めたら、コイツの一族も含めて全部が怪しい。死にたいんじゃないか?だから体を張るんじゃないのかって。
「なあ、なんだよ?居なくなるって。呪物を使ったらオマエ、どうなるんだ?」
『……帰るんだよ、直帰。おつかれサマンサー!って呪物を使ってドラえもん気分で』
ふざけた言葉と笑顔。
じゃあ確かめてやる、と携帯で連絡しようとしたらムキになって来るし。死ぬ為にここに任務に来てるなら、俺はコイツを死なせたくなかった。死ぬなって思う人間だっている、ここに。
気が付けば俺は抱きしめてた。いい香りと柔らかさに思わず突き放したくなるのをぎゅっと抱きしめて。
「……死ぬには、まだ惜しいだろ」
細い身体。離したくない。
なんとなく、なんとなくだけれどこの自分のキモチが分かってきてた。多分そういう感情なんだ。俺にも歪な呪いが理解出来てしまった。
「死んだら二度と会えないだろ…っ」
俺は会ったばかりのコイツに一目惚れしてる。初めての恋、中学生とかの付き合って下さい!っていう女との手を繋いだアレとは比較にならない心拍数。
気が付けば俺は今日初めて会った変なヤツことハルカを好きになってたんだ。