第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
「……呪霊がしぶとくてここん中荒らしちまったからさ。その、オマエの探してる呪物をぶっ壊してたらオマエの任務が進まないじゃん?」
それっぽい理由を答えたけれど実際は、会って早々に俺を振り回してく奇妙な女の生態が知りたいってキモチ。
手伝うって言ったけれどその気は無くて。それでもこの女は笑って、喜んで、俺の頭を撫でる(距離感ってのがねえのかよ、コイツは…!)ちょっとだけ気持ち良いとか嬉しいとかそれに近いものの後にそれをかき消すくらいの恥ずかしさが襲いかかった。
だってタメでチビで女のクセに俺を撫でるとか…ねえわっ!
友人間でもやる?何いってんだ、そこまでの事は普通しないだろ。というか俺にはいねえよ、傑も硝子もまあ、クラスメイトってか仲間だけれどさ。
コイツに突っ込んでればカワイソウとか言うし。ナンナノ……。
『じゃあ、今いる友達を大事にしなよ。その友達が悩んでるなら相談に乗って、ピンチなら助けてやってさ。こればっかりは非術師も呪術師も関係ないでしょ?』
「……余計なお世話だよ」
別にあいつらに撫でられたいワケじゃねえし。小学生までだろ、撫でられて喜ぶの。それか犬か猫。なんか、よくわかんねーけどやっぱりコイツに俺、振り回されてる。
むしゃくしゃして俺的にもはや手伝う気がゼロ。
「は?俺はここに居る。暑いしめんどくせえしひとりで行ってこいよ。どうせ俺の任務じゃねえし。ラスボスはどうせ倒してんだし。手伝うっても"ドアを開ける"手伝いはしたしな」
立ったまま待つ。手伝わない俺を強制することも怒る事もなく、近くに居るだけでも嬉しいってサ!
……あいつは二階の端から一生懸命に探してる。そんな事しても無駄……だってよ、微かに一階に呪力を感じる。二階に感じるのは俺が戦った痕跡と雑魚の呪いだ。
一部屋ずつ探してる。あいつ、春日家のやつはただ居るだけで呪いや寄ってくるって言ってた。確かに低級の壁抜け出来るような呪いがあいつの気配辿っていって、あいつに祓われてる。変な一族……春日家。
ドォン、という音に壁にもたれてた体を起こし、二階を見る。呪霊でも出たか?……いや、違うな。驚かせんなよ、ともう一度持たれて、その部屋をじっと見た。
随分と時間掛かってんな……。