第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
──女は春日の一族と名乗った。
春日とか流石に知ってた。
有名も有名、お手軽に治療してくれる術師の家系。
怪我を治すのなら反転術式がある。硝子が使うヤツ。それの治療特化の一族だって事は治療の仕方が凄いんだろうけれど。でも良い一面だけじゃなく呪術師の一族らしい一面も知ってた。身代わりになってくれる一族だって。
金の為に死を選んで一時期はめちゃめちゃ増えたけれどやがて死に過ぎて最近はぜんぜん名前も聞いてなかった一族。最後に耳にしたのいつだっけ?それくらいにもう過去の一族って事も知ってた。
だからそんな絶滅した、いや絶滅危惧種が目の前で名乗りを上げてるのに思わず笑った。
……ウケるんですけど?
「あの一族ってまだ生きてたの?ふっ、あの他人の為に死んでく一族だろ?……ククッ、早く死にたいから呪術を使って髪の毛を白く染めてくってハナシじゃん!
ああ、だからオマエ、結構白くなってんの?……ウケる」
『チッ、……失礼なクソガキだなあ』
「なんだと?」
女っつったら男に従順になるべきだろ。気の強そうな女は俺に失礼なクソガキとか抜かしてきた。確かに大人っぽくて俺を馬鹿にしたくなったのかもしれねえけど。コイツは一年だって…同じ一年だって言った。
京都の一年のハルカ。会ってすぐの印象は変なヤツ。失礼なヤツ。春日とかいう、身代わりの雑魚な一族。絶滅危惧種。それからレディースでもしてそうなヤツ。
……あと俺よりチビなわりに胸が意外とある女。なんか俺をじーって見てくる女。
……ほんと、変なヤツ!
『近くに大きな建物があるハズでさ、私そこから呪物を取ってきて使わないといけないんだ。サボってるの言わないであげるからさ、悟手伝ってよ』
にこ、と笑うのが結構……、変な事を考えそうになってその考えを俺のプライドが正常に戻させる。あぶねえ、こんな不思議チャンを可愛いとか思いそうになった…。
図々しくも俺がサボってる=暇だと思われたらしくコイツの任務を手伝え!って言われてさ。
……なんだよ、任務に手伝えって?めんどくせ。なんのメリットがこっちにあるんだよ。
嫌だって態度が滲み出てたのがご理解出来たようで。春日の女は腰回りのバッグから何かを取り出して俺にぐいぐいと押し付けてくる。