第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
「うわっ!なんだよ人の携帯覗くなし!」
『今何日だっけって……わー悟クンえっちなオネエサンの待受にしてる!わー男の子だねえ、こういうのが好み、』
「日付じゃなくて待受見てんじゃねえか!クソッ、仕返しにオマエの携帯見てやる!オラ、出せよ!?」
8月10日の12時36分という文字を見た。もちろん、その時刻までを片言のように呟いて待受以外も見てますけど?と悟の焦る顔を笑って見る。ムキになって両手の指をわきわきしてる彼、わー必死だなあ。
ふと小馬鹿にする私の態度から感情がフッと消える。
……あっ…今の私の携帯、見られたら色々とヤバイわ。壁紙がまず、大人になったキミですね、パーティー用のフォーマルな姿の。設定してしばらくは超好み…!って悶えてたけれどようやく最近になって慣れてきた悟の壁紙。こんなもん見られたらヤバイわ。しかも何よりもこの時代にガラケーがまだ主流であるしさ…。うーん。ギリスマホが出始めたかも?くらいの時代だっけ?当時小学生だからはっきりとは分かんないなあ…。
ささっ、と背後のウエストポーチを隠す。まあ…自身の上着が隠してる状態だからまず、すぐに取られる事は無いんだけれど。
そんな私の様子を見て、にやぁ…といやらしい笑みを浮かべた悟。ひたひた、と数歩分這って、両手でウエストポーチを狙い出した。
「ほら、見せろ、見てやるから」
『やだ。絶対にやだ』
「人のモンしっかり見ておいてやだ、はねえだろ。オマエのっ、携帯も…!あっ、背後に隠しやがって!」
夢中になって携帯の入ってるポーチを狙ってる悟だけれど、今の体勢が物凄くヤバイ事に気が付いてない。言って良いのかな、これ。体勢的に覆い被さる一歩手前で、インナーであるタンクトップであるとはいえ薄着の上半身に攻めてるような彼。多分、しゃがむ悟が腰を上げ、もう少し前のめりになれば押し倒すまでくる。
ぷすすっ、と笑っていると「何笑ってんだよっ!」とキレ気味の悟。
『……そんなに私の胸元、至近距離で見ないでよ。えっち、変態』
動作の固まった悟が私の顔から目の前の胸元をガン見してゆでダコのようにぶわぁ、と一気に赤く染まっていく。
……おー、面白っ!
「はっ!?なっ……、そういうつもりじゃ、クソッ!ふっ、服を着ろバカタレ!」