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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる


189.

向かってる方向だったし丁度戻らないといけなかったから良いけどさ?
走る悟を必死に追いかける。やはり男女差というか、十代って事もあって速い速い。あっという間に見失って森の入口まで来たけれど悟の姿は無いし。

『はぁー…あんの野郎……』

両膝に手を当て、無駄に暑い思いをしてしまった後悔。そういう任務じゃないんだけどなっ!
もしもこの辺りに高専の車が来てたとしたら、それに乗って帰った可能性がある。周囲に車なんてないし(元々あったのかすら知らないけれど)砕石を踏みしめるタイヤの音が聞こえなかったから…耳に届かなかったから帰ったわけがない、と最悪のパターンが起きてないんだと自分に言い聞かせて、走って乱れた呼吸をとりあえず整える。

……合流したのに逃げられるとか!
ばーか!って何?小学生かよ!ああ、もう。昔の悟に逃げるなって言っといてくれないかなあ、大人の悟!
森に背を向けてた体を、目的の場所である売地の大きい屋敷の方向へと向ける。売り出されてまだ新しいのか、門はさほど錆びてないし蔓状の植物もない。売地の看板もまだ新しいし。
この建物の中にあるんだからそれを探し当てよう。高専の制服を着てたから最悪、最終的な悟の居場所は分かる。
あっでもそこまで行くと不審者扱いをされる可能性があるんじゃないかな?未登録の呪術師だろうし…私。

といあえず中を探索しよう。
門を開けようと手を掛けるも大きな南京錠で固定されて、ガァン、と重い金属の音がしたくらいでびくともしない。高さは子供程度だしここは飛び越えよう。手を掛けて門に片足を掛け、そのまま敷地内へと着地した。

中は敷石だとか芝だとかあるけれど、売られて時間はそこそこ経ってるみたいで芝には雑草が生えてる。ここに来る前はボーボーでススキとか生えてたけれど酷くはない。数ヶ月ぶりに来た、地方の別荘みたいな感じ……というか。
いや、我が家に別荘ないから多分そんな感じって事じゃないかな?って思ってるだけなんだけれど。
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