第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
悟はにっこりと笑ってカメラを弄ってる。
「呪物だから平気!」
『あっ、そっすか…呪物なら仕方ないね』
呪物仕様なら私は何も言うことはないよ、うん……。
くりくりとなにやらつまみやら円盤を真剣に調整している悟。それを覗こうとすると一度手を止めた。
「ハルカは今日が西暦何年で何月何日かちゃんと覚えて居られる人?」
『何?ボケチェック?ちゃんと覚えてるけど?』
「そっ!なら安心だねー。時間も調整してっと」
私に見せるようにくりくりと調整する悟。
アイマスクのままの視線はカメラから私に移された。
「西暦、年月日。時間は11時くらいが良いよ、今日の午前11時」
『は、はあ…?』
何を言ってるのやら。でも一応は覚えておこう。
悟はこちらに顔を向けアイマスクの奥から私をじーっと見て、口元を緩める。大切に持ったカメラを指先でトントン、と叩きながら。
「最終的にこのカメラを近くの建物から持ち出して使って欲しいの。この呪物は特殊でねー、年月日と時刻、自分で調整するんだ。写真に印字するように調整すると、その日時に被写体を写真を転移させてしまう……だから今日の日付に時刻は11時って言いたいの」
お昼前だねー、なんてのんびりとした口調で言ってる。けれどもとても重要な事なんだろうって彼の言葉を一字一句聞き逃さないように少し寝不足な頭でそれを理解していく。
『……うんと、どっかにテレポートするとかそんな感じって事?なにかの領域的な……』
自信は無いけれど、多分ここではないどこか。そうとなれば現地の協力者っていうのが今この場に居ないのが頷ける。
悟はへの字口になった後に「ま、いっか」と謎の呟きをして大きく頷き、「うん!」と肯定した。なんだ、ま、いっかって。説明を諦めたでしょ?それは不安になるんだけれど?
「ま、最終的に呪物を使用"してもらう"ワケ。だから現地の協力者がちゃんと協力するように心を許して貰える様にちゃんと仲良くなってよ、ハルカ」
『……うん、協力者が居るっていうのはその場所で協力者を作るって事ね、かしこまり』