第3章 呪術を使いこなす事
アイマスクの為に口元でしか感情が読み取れない。その口元がいつもニヤニヤしてるからどういう感情かが分からないんだよなあ。
その好きか嫌いかの選択を迫られると、困る程じゃないけれど答えは決まっている。
『えー…好きの部類なんじゃないの?』
「好き!?っぱモテる男だもんね、僕はさ…」
『可もなく不可もなく、という意味での。うざ絡みとか悪戯はあるけれど、事実色々と助けられてるし……』
……好き、だけ言えば勘違いされるし。
悟は小さくハハハハ…、と言って黙った。悟の期待する面白い反応じゃなかったみたいだ。
『ところでさ、鍵掛けたんだけどなんでここにいるの?音すら無かったよね?』
セキュリティ面に不安がある。良い部屋ではあるけれど、知らぬ間に人が入り込むのは嫌だし。どうするよ、風呂上がりに悟が居たら。悲鳴どころじゃ済まない事になる。
キィ、と小さな椅子を引擦る音を立てて、私は鍵を確認をしに玄関に進む。
じっと見れば鍵が閉まってる。やっぱり。じゃあ術か何かで入ってきちゃったのかなあ。うーん、と考えているとひたひたと背後に素足で迫る音がしたので、鍵を開けて私は玄関のドアを開けた。
「どったの?おでかけ?」
『……リリース。これより私、ご飯タイムですので。隣の巣へお帰り…?』
悟はくねくねとコミカルな動きに、頭を二度上下に振った。
「え?ご飯?僕も食べてっていい?五条悟のグルメリポーターしてっちゃおうか?」
『一合しか炊いてない上に急ぎだったからふりかけ(のりたま)しかないもん、明日以降かつ事前に余裕持って言ってくれないとー、ほらお部屋は隣でしょ。ハウスハウス!』
余裕があれば食べていっても良いと言えたけれど、本当に急すぎた為に何もない。調味料すらも。コンビニとかに買いに行くのも良いけれど今日は面倒くさい。
備え付けの電化製品があるという事でお米は小さめのをとりあえず買ってきたけれど、明日以降にまた買わないといけないなぁ。