第20章 星空の下で愛を語らう
「僕が任務で居ない時どうすんのー」と焼けたものを取皿に乗せ終わってカチカチカチカチとトングで威嚇(無意識かもしれないけれど)する悟。
……確かに好きではあるけれど。そこまでして別に慰めたいってわけじゃない。ただ……。
むっ、としつつ、蒸気の出る量の減った飯ごうを蒸らす為に手袋を嵌め、場所をバーベキューコンロから下へと移して上下逆さにした。
しゃがんだままに悟を見上げず近くにある細めの薪を手に持つ。
『ひとりでするとかそこまでする程じゃないし。その、私はただ……悟とするのが好きなの、ひとりえっちしてまで私自身が気持ち良くなりたいってわけじゃないし…』
「……はぁー…ちょっとそういうのさあ~…マージ勘弁してよぉ~」
またトングで素早くカチカチ鳴らしてる音を聴きつつ、地面付近で飯ごうの底面を数度、薪の破片で数回叩く。こうして少し放置すれば良いはず。あとちょっと蒸らしておけばお米が出来る。
立ち上がってみればちょっとぷっくり頬を膨らませた悟。
「……キミは旦那さん好き過ぎる奥さんかあ~?」
『うん、そうですけれど?ほら、しいたけを食えしいたけ。私の焼いた物をちゃんと食べろ~?……早く食べないと炭の火力がやばくて網の上も炭になっちゃうってのもあるんで』
焼けたものを食べろと急かして照れを必死に隠して。
……悟が好きすぎるってのは当たり。どんなにしたいって思っても自分で解消するんじゃなくて彼に触れて感じたくて。
愛とは歪な呪い、そういう様に他の人や玩具や私自身じゃなくてこの人じゃないと無理くらいまで好きで。
…こんな重すぎる想いを伝えたら引かれそうだなー、と焦げる寸前のものを自身と悟と、取皿にポイポイ乗せる。
「乗せすぎ、えっ焼き肉って強飯式だっけ?」
『……あっつあつの食べさせんぞ?』
「絶対ダチョウ倶楽部状態になるじゃん。僕のペースで食べさせて?」