第20章 星空の下で愛を語らう
「来週も任務とか学校とか面倒くさいけど頑張ろうねー!」
『うん、そうねー』
「あと今晩のえっちも頑張って盛り上げて行きましょ!めざせ四尺玉が如くハルカという名の夜の華を僕がテント内に咲かせてあげる!」
『それは……ほどほどに…というか。火事というか翌日に響くやけどになるから四尺玉はやめとけ~?』
グラスじゃない分良い音はしないけれど、コツ、と小さな音を立てた缶。
それぞれに数口飲んで、トングで食材をひっくり返す。薄めの食材はすぐに焼けて早めに食べられるからそればかり回転率を上げてしまっている。
……牛タン、美味しいです。
カチカチ、とトングを鳴らし私を覗く悟。にっこり笑って口元を指してる。
「ビール髭着いてるよ」
『ん、ほんとだ』
「ていうかほどほどってさー…結局はするのね、オマエ?えっち好きになっちゃってる?」
ジュウウ…、と良い音と匂いをさせてるお肉。キャベツがちょい焦げてきてるから急いで反対側にしつつ、トングをカチカチさせながら金網に乗せてる肉をひっくり返していく悟を見た。食材が怯えるでしょ、威嚇しちゃいけません。
さっき私はほどほどに、と答えてる。それは確かにすることを否定してるわけじゃなくてしても良いよ、という意味で。じっと見てる悟を見ながら箸を焦げないように網の上に伸ばした。
『疲れるけれど…えっちするの、嫌いじゃないよ?どっかの自称スパダリに身体に教え込まれたからかな……悟に会うまでは無縁だったんだしむしろしない事が日常だったんだけど……
やっべ、しいたけシルエットクイズにする所だった』
やや焦げなしいたけをひっくり返し、傘の部分を下にした状態でヒダの所に小さな醤油ボトルから少しずつ醤油を垂らし込んでいく。時折零れて炭に掛かり焦げた醤油の香りが立ち昇ってきて、たまらなく愛おしいおつまみであると予想が出来て……めっちゃ美味しそう…。
ちょっと忙しかった工程を見て、悟が短く笑った。
「ポケモンのだーれだ?…を再現しないようにねー、ふたりしかいないんだし焼くスピードと消費が釣り合ってないだろ、これ…取皿にもう焼けたの突っ込んでくよ。
ていうかさー、そんなにするのが好きならひとりえっちくらい覚えときなよ、今後の為にも」