第20章 星空の下で愛を語らう
179.
テントよし、タープよし。バーベキューコンロもファイアスタンドも設置よし!
心配だった公園内の水道はきちんと生きていて、水用のタンクに入れて近くへと運んできた。コック付きのタンクは離れた場所に行かずとも水道として使える。少しの距離の往復がカットさせることで生まれる利便性。
ただトイレだけが少し遠いんだよなぁ……ちょっと日陰ってのもあり、じめじめして汲み取り式で…おまけに呪いの気配もあるし。あまり行きたくないって感じる。怖いって意味じゃなくてね、遠くて清潔性での意味で。
調理器具やクーラーボックスなどと車から運び出して全ての過程を終わらせた。これでもうキャンプとしての準備は終わり。普通であればあとはだらだらと薪を燃やしたり、手間の掛かる食事であればゆっくりと下ごしらえをしたり…近場に水辺があれば釣りをしたりして食材調達なりレジャーを思いっきり楽しんでいた所だけれど、私達は設営だけ急いでたわけだからこれでひとつのミッションを終わらせる事が出来たってワケで。
悟は私の手を取り、ばんざーい!と手を挙げる。
「はーい、準備終わりっ!」
『さくさく進んだねー。ん、今は午後3時。この後は任務っすか?特級呪術師殿?』
ん?と私を見る悟は微笑む。その後公園の周囲の木々の生い茂るとある場所をじっと見て。
「んー、そうだねえ……。任務っつっても廃屋の隠された呪物の回収。帳も要らないようなおつかいみたいな任務よー?」
『あれー?任務を忘れんなアル中だとか計画時に罵ってませんでした?私、てっきりバチバチな呪霊とのバトルかと思ったんですけれど?』
任務あること忘れんな、くらいに言われちゃ呪術を使った戦闘のち、呪霊を祓う任務かと思ったんだけれど。
悟はチッチッチッ、と舌を鳴らして笑っている。
「多少は下級の呪いを祓うだろうけれどねー、呪物は呪物、非術師には危険だから厳重な管理が必要なの。ハルカに酔っ払って使われたら困るしね」
『ハメを外すほどは飲まないもん、流石にさ』