第20章 星空の下で愛を語らう
設営したテントのすぐ横、折りたたみの椅子に座る。ギチッ、と鳴って自然の中と人が居ない開放感。時期も時期だから気持ち良い。
『はあー……ハンモックが使えたらテンションぶち上がってハメ外してたかもしんないけどね』
脚を組んで浮いた足先をぷらぷらとさせつつ。いい時期にキャンプしにきたみたいで気温が最高に過ごしやすい。ハンモックなんてあったらずっとゆらゆらして時間を潰してたかも。
丁度良い木がなくて断念したハンモック。あったらあったで私よりも悟の方がハメ外してそうだけど。きょとんとした悟は自身を指差して笑う。
「ハンモック代わりに悟くんがオマエを乗せてゆらゆらすることは可能ですが?」
『あの~…体位の話じゃないんですけど……?』
何言っちゃってんの、と呆れながらに言えば悟は本気だったらしい。
「だから無下限呪術で僕が空中停止してる所にハルカが乗るの。左右にゆらゆらは揺れないけれど、多分いや絶対に気持ち良いのは約束出来るかな。揺れは左右じゃなくとも上下にゆさゆさは出来るよねー、裸でする?出来るならオマエに上下に揺すって貰いたいんだけれど」
『序盤本気でスゲーって思ったのに後半えげつない勢いで悟の株が暴落してったんですが?結局は体位じゃねえか』
結局下ネタに走んのか、と話が脱線してしまったのを軌道修正するように、「話を戻すよ、」と悟は任務の話を始めた。
同じく折りたたみの椅子に悟も座ったので、組んだ脚を解き私は悟の話に耳を傾けた。
「楽しいキャンプをする為に先に任務を済ますんだけれど、オマエもここに留守番じゃなくて一緒に着いてきて。任務にやる気も出るし、オマエが居ると呪いも集まって処理も楽だし」
後半が本音でしょ。椅子から立ち上がって悟の側に寄る。手を差し出すと悟は指をしっかりと絡めて握って笑い、立ち上がった。
「じゃあ任務に出発!僕がハルカにすり寄る呪いはぜーんぶ祓ってあげる。
他人(僕)の女に手ェ出すからさ!首輪も飛んだぜ、あばよ、呪霊!でサーチアンドデストロイよ!」
『……吸血鬼との戦いじゃないんだぞー?』