第20章 星空の下で愛を語らう
178.
「はい!到着!」
高速に乗ったりサービスエリアで休憩がてらジェラートを食べたりしつつ、高速から降りた後は目的の食料品やホームセンターに寄って民家の少ない場所へと進み続けた。
ワゴン車はやがて車線すらないアスファルトのみの道を走り続けた。左右の光景は木々ばかり、森の中を進んでいるうちはちょっとわくわくしてたけれど天気も悪くない、時期的にもキャンプ場なら賑わってるだろうに全然車とすれ違わないし、本当にこっちにキャンプ場あるの?と不安になっていれば案の定だった。
パーキングに切り替えてエンジンを切る悟。はい到着と言ってシートベルトを外してる。
私達が辿り着いたのは想像していたキャンプ場では無かった。花火とか出来るの?と数日前に悟に聞いた時、手持ちくらいなら大丈夫だと思うけど?と言われて、一般的な場所なのかな?って勝手に思ってた。結果的に当日である今日の答え合わせは、オートキャンプ場でもキャンプ場でもない、多少手入れはされているっぽい寂れた公園。
公園といってもほとんどの遊具が撤去され、砂地や以前は芝が植えられてただろう、雑草を刈払いで整えましたーって感じの草原。
一応、あちこち外灯はあるけれど、夜に点灯するのかは疑問……人が居ない所を照らし続けるのも節約しろ!ってここまでの電気を切られてそうな予感がする。
少し離れた所にブロック塀をマイクラの如く積み上げ、ちょっとした小屋っぽくなってるトイレ。
換気用の煙突みたいのが見える……多分あれは水洗じゃないやつ。外に時代を感じさせる、水の入ったバケツのようなものも吊り下げられてるし。手洗いはアレを使えっていうのか…。
公園側には水道はあるけれどトイレに水道管を引っ張ってくるだとか排水・汚水処理の予算が無かったのかね……と、色々と察しながら飲みかけのドリンクや飴などを鞄に詰めてる悟を見る。
『運転お疲れ様ー。で、あの、キャンプ場?はどちらに?まさか馬鹿には見えないシリーズ?それとも化かされて注文の多いキャンプ場に来てたりとか?』
念の為の確認。ほら、先に任務って事もあるしね。
そしたら悟はサングラスの奥の瞳をぱちくりとして首をちょっとフクロウの如く傾ける。
「ん?僕、キャンプしようとは言ったけどキャンプ場に行くとは一言も言ってないよ?」
『えっ……そういう所だぞ?』