第20章 星空の下で愛を語らう
そう言ってにっこりと笑いながら手を差し出し、その手を重ねると床へ降りるように手を握って私を降ろす悟。
「おはよーっ」
『……おはよ』
朝から楽しそうなのが分かる。ルンルンと悟は朝の支度を始めだして怒るにも怒れない、いつまでも引き摺ればこっちが子供みたいだしさあ……そう思えば怒りも消えていく。がしがし、と寝癖が酷いだろう頭を掻く。疲れてるからあと少しだけ寝たかったけど今日はキャンプだし。キャンプって言ったら夜はすることないから早めに寝るはずだから今はちゃんと起きておこう。
「二度寝すんなよー?」
洗面所から歯ブラシを持った悟がひょっこりと顔をこちらに向けて叫んでる。朝の支度に来ないからって二度寝の疑惑を掛けられてたみたいで。
『眠気吹っ飛んだからしませんよーだ』
ああ、もう……私も洗面所行こ。小走りで洗面所へと私は駆けて行く。悟が「おっさきー」と長袖を捲くりながら私とすれ違って、キッチンへと向かっていった。
私も急いで朝の支度をして、朝食べるものでも…とキッチンに合流しに行くと途中まで作ってる悟。スコーンを作ってる悟を見て甘党とか通り越してイギリス貴族かよ……と冷蔵庫からジャムとクリームを取り出した。この前、お家で簡単に出来るスコーンの作り方の記事を私に見せてきたけれど早速チャレンジしてる。
片側を焼き、もう片方を焼き始めてる悟を見つつ、隣で少しつまめるおかずでも炒めてるか、とフライパンを用意しとく。
「ハルカさ。疲れ取れてない感じ?」
『ん?急に優しくしてきてどうしたの?熱でもある?槍でも降らす?』
横顔を見て尋ねれば、キメ顔をした悟がこちらを向いた。
「なーにいってんの!僕はいつだって優しいスパダリなんだからねっ!ぷんぷんのぷんすかぴーだぞっ!」
『スパダリはぷんすかぴーとか言わないだろ、常識的に考えて』
「ソッスネ……」
スコーンの焼き具合を見ながらちらちらとこっちを見てる。初めてのスコーン作り、加減が分からないから私も焼き具合がちょっと気になるのだけれど。
急に心配をしてきた悟を見上げてなんでそう聞いてきたのか、を『で?』と催促した。