第20章 星空の下で愛を語らう
177.
気持ちの良い朝、私の携帯の鳴り響くアラームを『潜影蛇手ッ!』と言って素早い動きで消し二度寝に入る。秋の気候はとても快適で土曜日のこの二度寝が最高に幸せ。普段したら遅刻というギルティ。けれども休日の二度寝は赦される、禁断の手法(睡眠法)。
アラームを消してすぐに再び夢に…と入りかけた所だったのだけれど。
どすん、バインッボスンッボスンッ!
せっかく閉じた瞼を開ける間でもない。ベッドがギシッ!と大きく軋みベッド側の鼓膜に鳴り響きながら私の身体ごと激しく揺れる。せっかくの二度寝の妨害者、苛立ちを覚えさせる行動をする同居人のお得意の悪戯タイム。
「オッハヨー!キャンプ日和ですよー!二度寝なんて許されない!おはようございます、寝坊助=サン!ネボウスレイヤーです。さあ起きた起きた!」
いい年こいてベッドで跳ね散らかす2メートル級の巨人、てか成人男性ですね。眠りからすっかり起床モードになった私は瞼をくわっ!と開け叫んだ。
『うるせー!小学生までだろ、こういうベッドで飛び跳ねんのは!……ええい、跳ねるのを止めろ、話を聞けーっ!』
「ウエーイ!」
ばすんっ!ばすんっ!ドスン!
叫んでもキャッキャとベッド上で飛び跳ねてる悟。フェスのちびっこバルーンで見られる子供みたいに朝から無邪気さ全開の悟。これはもう、怒りにじゃなくてエンターテイメントに我を忘れてる。蟲笛、じゃない一度正気に戻さねば。力技で。
私は寝そべるのを止め(二度寝させてくれないし…)上半身を起こし、悟にキッズパーク宜しく跳ねられまくって、立つのに子鹿のようになりつつも。ようやくベッドに支えもなく両足だけで立ち上がった所で、悟がピタッ、と跳ねるのを辞めて床に降りていく。
床に降りた悟は綺麗にくるりと振り向き、嘲笑う表情で私を見上げた。
「うん、起きたねー。キミってば大人でしょー?もう小学生じゃないんだからベッドに立ち上がってはしゃがないんだよ?」
『あ゙あん?どの口が言ってるのかな??ん?言ってみろー?返答次第では蝶野の張り手を再現すっからね?』
「ワー、コワーイ!」