第20章 星空の下で愛を語らう
「あれ、硝子読心術使えたっけ?」
「アホか、少し前にハルカが居たからなー……。五条、私はお前が何を企んでるのか知らないけれど。ハルカがちょっと勘付いてるよ」
笑顔の消えた五条。何かを考えているようで。
アホな行動も深刻な行動も振り回されてきた同期である家入。腕を組んで、「で?」と座って覗き込みながら五条に言葉を促した。
「で?……て何?」
「何、じゃないだろ。学生やらせるって言った手前、一般教養も真面目に受けさせてたのに最近になって一般教養の座学の多くを医務室や事務に回してる。アンタ何考えてんの?」
ふざけて「バレちゃった☆」と片手を頭に当てる五条を家入はしらー…と冷めた視線を送る。突っ込まれる事はなく、五条は真面目に切り出した。
「……多分ね。彼女、皆と同じ足取りで行けば卒業まで保たないんだよね~…」
「保たないってー……身体が?私がハルカを見た時は多少免疫が低い程度だったと思うんだけど…?低いっていってもそれも一般人程度だし影響なくない?」
希少な一族であり、詳細な事が解らない春日の血族。元は禪院からの分かれた血族だとはいえ。
高専が出来てからもスカウトしに行こうとも一族の者が誰ひとり学校に通うこともなく、名のある一族であっても詳しいことは分かって居ない。だからこそ、定期的にハルカを家入は調べる必要があった。若くして死ぬ事の多い一族であるからこそ、最後のひとりであるからこそ。
彼女に特に異常は無かったハズ……と前回の結果を脳裏で思い出していると五条はハハッ!と短く笑い声を上げる。
「身体のガタっていうよりも運的なものかなー…一族特有かハルカがなのか知らないけれど、あまりにもトラブルメーカーすぎてさ!
……高専に来て数ヶ月だってのにやけに死にかけてない?彼女」
「まあ…確かに。やたらと死にかけては居るけどさ…」
いつもふざけて大声で喋る事の多い男、五条悟。この時ばかりは「だからだよ、」と声量を抑えた。別に近くでこの会話を聞いている者なんて居なくても警戒をして。
「これ以上ハルカの呪術師としての等級を上げず、過酷な任務に行かせない。そして安全な高専内で過ごせるようにって僕は考えてる」