第20章 星空の下で愛を語らう
うーん、と難しそうな顔で毛先を弄る硝子は口を開いた。
「私もハルカがそうなっている件について詳しくは知らない。ただ、広く浅く高専内の職務を教えていって欲しい、とは聞かされている。私としては非戦闘員として力を入れてるのかな、くらいに受け取ってたけど……ハルカは戦闘力は一応あるからなあ…」
なんの理由で?と疑問に思う中、ふと私に思い浮かんだのは京都校。はっ!としてまだ決まっていないそれが今自分の手持ちのカードがその最近の待遇の答えになっていた。
『もしかして、交流パーティーで歌姫さんから耳にした、姉妹校に駆り出される件について……とかですかね?』
「それだったら普段と変わりないでしょ。あっちでも授業を受ける事も出来るだろうし、人体の知識が無くともハルカは怪我を治せるんだから」
じゃあ別の理由なのかな。はあ、と肩を落としてそろりと置いたペンを手に取る。大したことじゃなければ良いんだけれど。
「気になるか?」
『そりゃあ、まあ……多少は。けど聞くとしたら週明け以降にしたいって所ですかね、空気を読んで』
「ああ、キャンプに行ってからって事ね」
もしも私がキレるような事で、せっかくのキャンプを台無しにしたくないし。なら週明けが良い。
「仲が良い様で何より」、と優しく笑った硝子は立ち上がって作業を再開した。
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「ブンブンハロー硝子!」
「……静かな医務室を騒がしくしに来るな、クズの方の五条」
ハルカが医務室から去り、体術の授業として外に出ている時。負傷の居ない医務室、ひとり作業をしている家入の元に五条がやってきた。
にこにことアイマスクの下の口は機嫌が良さそうで、医務室に入りドアを締めると空いている椅子へとドカッと座り、脚を組む。仕事にならないな、と判断した家入はデスクから椅子をくるりと回して五条の方へと向いた。
「ここに何しに来た、と言いたい所だけれど。ハルカについてだろ?」