第20章 星空の下で愛を語らう
撫でていた手を止めて、私の体に半分程隠れている悟を覗き込んだ。
『急に言われても一式揃えるの大変だよ?買ったとしても部屋パンパンになっちゃうし。
いくらアウトドア用品、コンパクト化してるって言っても普段使わない分部屋を圧迫する。置き場所の問題があるかなー』
目をかっぴらいて両手の人差し指で私を指す悟。
「うわっ現実主義派かー?」
『ちゃんと現実も見て後の事も考えたまえよ?』
止めた手を再び動かし軽くぽんぽん、と叩くように撫でてから近くに放り投げてた私の携帯を取る。
まっ、どうしてもって言うなら確かファイアスタンドとか飯ごうといった小物くらいは実家にあったかもしれないし、使うなら父親に連絡取るけれど。
「でもでもー?今は道具のレンタルが出来る世の中よー?細かいのは無理かも知れないけど大きいものくらいはレンタルして手軽にキャンプが楽しめちゃうのさっ!便利な世の中になったねー」
悟は自身の携帯画面を私にずいっ、と見せる。ふざけているから距離感がバグってて頬に押し付けられて見えやしない。
『残念、そこに目はありませんよー』
「じゃあここかっ!」
『そこは額でーす、私は宿儺じゃないんですけどぉ~?』
3回目にしてちゃんと画面が見える、普通の距離感。アウトドアレンタルサービス社の決済画面が出ていた。
……あれ、私行きたいなーとか言ったけど、まだ行く!なんてはっきり言ってないんだけれどな。
「キャンプデート、行くでしょ?」
『行くでしょ?の前に決済してるやんけ。行くしかない結果じゃん。ていうかこれ…いつも通りの任務のついででしょー?』
任務の香りがぷんぷんする。任務じゃなかったら日付の調整もしただろうに…と、携帯を引っ込めて決め顔をする悟を覗き込む。
「オマエみたいな察しの良い女……おもしれーやつ…」
『色々と混ぜんな』