第15章 4.形影相親
「静雄さん、クレープ食べに行きましょうよ」
仕事が速く終わり、街をぶらついていた所にスバルが合流したところだった。
最近の静雄とスバルはというと「仲の良い兄と妹」という距離感に落ち着いており、スバルも年相応の姿を見せていた。
「別に良いけどよ、お前この前ダイエットするっつってなかったっけ。知らねぇぞ」
甘いものが好きだが中々そういう所に男1人で行く気にならない静雄はスバルが良い口実になっており、スバルの体重事情を除いてはwin-winである。
タバコをふかしながらダイエットについてせっつくと「……チートデイですから」とブツブツ言い訳をしていた。
とは言いつつもクレープ屋に向かっているとすれ違った若い子が話していた内容が聞こえた。
「俺前にあった魔法少女のやつ、生で見たんだよね!」「うっそ!でも動画見たけどCGとかだと思ったけどね」「いいやあれは…」
先日あった静雄、サイモンらとの大混乱戦の事だ。
あれ静雄も普通に帰宅し、スバルも静雄そこには触れてこなかった。
しかし流石の静雄も気づいているよな、と思うスバルは話を切り出すことにした。
「あの…魔法少女は…」
すると静雄はその言葉を遮るようにスバルの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「俺もあん時は頭に血が上ってたからな。まぁ何だ。直ぐに全部教えろとは言わねぇよ」
そう言うと静雄は「クレープ悔いに行くんだろ」と優しく声をかける。
スバルは複雑な心境ながらも有難く思い、ついて行く。
るる子は似顔絵書きが居るという、桜で覆われた代々木公園へとやってきた。
地面に落ちている桜を箒ではいている女性を見つけて似顔絵描きについて聞くことにした。
「もし。ここで似顔絵描きをしていた方をご存知ではありませんか?」
すると女性は少し驚いたような顔をして「横浜に行くと言ってたよ」と教え、さらに続ける。
「綺麗なお嬢さんねぇ。貴女が来る少し前にも女性が同じことを尋ねてきたのよ。ヘルメットを被っていたし携帯に文字を入れて話していたから女性ということ以外はわからないけれど……」
るる子はスカートの裾を摘んでお礼をすると直ぐに横浜に向かって歩き出す。
何者かも同時に首なしライダーの影を追っている。もしくは…
(首なしライダー本人を追っているかも、しれないわね)