第2章 違う日本
時刻は2時間が経過して20時。
もう学生達は遊び足りない人間以外は姿を消している時刻。そろそろ女子高生の制服は目立ってしまう。
ウロウロと宛もなく街を歩き、時々あちらの世界に電話をかけてみては分からないの返答を聞くという時間を過ごしている。
ふとこの街を上から見下ろしたいと思った。
どうせなら楽しもうと思い、まずは夜景とやらを見ることにした。
(どこに登ればいいとかわからないから、人が入れそうな適当なビルに入ろう。怒られたら謝っとけばいい)
スバルは適当なビルに怪しい人がいるとかは想像しないのである。田舎娘だ。
外側に階段があり様々なテナントの入ったビルを見つけたのでそこにお邪魔させてもらうことにした。
残業をしているのか、灯りのついている扉の前は屈んでコソコソと進む。
十数階だろうか、結構な階段を登り終えビルの屋上にたどり着いた。
「都会だなぁ…」
案外、普通の感想しか出てこないなと自分に笑う。
自分の住んでいる所は住宅街なので家の灯か街頭くらいしかないので店やビルの灯りは本当に新鮮だった。
「そうだ、そういえば変身ってできるのかな。こっちに来てから電話はしたから出来ると思うけど。丁度、誰も居ないしいいよね」
心地良い風を感じながら、ビルの屋上の真ん中に立つ。
暗いのでワンチャン誰かがどこかの建物から見られても平気だと思い、どうせなら開放的な気持ちになろうと真ん中に立ったのだ。
「マジカル〜……チェンジ!!」
いつもより少し気合いの入った掛け声をするとブレスレットはいつものように光り、スバルの全身を包み込む。
光が消えるとそこにはいつものマジカルフワフワな魔法少女、スバルが立っていた。
「ふーん、特に変化はなさそう…」
ここに鏡は生憎無いので代わりに自分の服を触ってみたり、顔を触ってみたりしたが特に違いは見受けられなかった。
「この姿に安心する日が来るなんて思わなかったなぁ」
誰も見てないのを良いことにその姿のままウロウロと屋上を歩いては柵に手をかけ、ぴょんっと柵に座る。
「…………ここが私の生まれた世界と違うなんて嘘みたい。嘘ならいいのに」