第2章 違う日本
結局、スバルとめるりは会うことができなかった。
全く同じ場所に立っても、2人は会わなかった。
スバルはふと思った事があった、もしこれで本当にダメだったら一つの事実に辿り着く。
「めるり、あそこのコンビニの前でタバコ吸ってる赤いジャンパーの男の人見える?」
会うのがダメならどちらかが見えない状態ということになるが、同じ人ならどうだろうか?
『……スバル、コンビニの前には…誰もいないんだよ』
「………そう…」
スバルはついにしゃがみこんでしまった。
口と行動では冷静を装っていたものの、スバルはほんの高校生である。
自分が、
自分が、
自分が、似ているが違う世界にいるということに気づいてしまったのだから。
スバルが吸い込まれた黒い物体はスバルを吸い込んだと同時に消えてしまったので、調べようが無いとの事。
しかし同タイプの夢魔は存在している可能性は高いので、全国全世界の魔法少女達から機関が情報を集めているということだ。
一先ずこちらからスバルをどうにかする事が出来ないので、何とかこの世界と元いた所の違う点の情報を探りつつ生き延びて欲しいとの事。
『電話を繋いだままじゃスバルの体力がなくなってしまうめる。だから不安だと思うけど1度切るめる…』スバルの力でこの通話が繋がっていると考えられおり、知らない土地で倒れてはいけないからとめるりは渋々通話を切った。
不安がスバルを襲う。
「生き延びろってたって、1万前後くらいのお金でどう生き延びろっていうの…」
コンビニに立ち寄り財布にあったキャッシュカードを使用してみたが取り扱いができないカードだと言われて返却されてしまった。
どうにか1人の女子高生は終わりの見えない中、1人で生きていくしか無いという事にスバルは絶望して西口公園の隅で座り込んでしまった。
時刻は18時ごろ。日も落ちる時間だった。
「おい静雄、あの座ってる子さっきも居た子じゃないか?」
借金の回収に回っていた静雄とトムがまた西口公園に通りかかった時のことだった。
「立ちんぼかと思ったが家出少女とかかもしれねぇなぁ」
そう言いつつも手を伸ばさない。この街ではよくある話なのだから。
「……そッスね」