第13章 3.暴れ回る
「うおおおぁぁぁ!!」
静雄は近くにあった自販機を持ち上げる。
「う、ウソ!」
静雄のがごみ箱を飛ばしたのはわかってはいたが流石に目の前で見せられるとるいは驚きを隠すことができない。
自販機を臨也目掛けて投げた時、それは空から降ってきた何かによって止められる。
「ズン!」という振動と共に現れたのは大きな黒人…というより露西亜寿司のサイモンだった。
高校生5人組は現れたサイモンと、上を交互に見る。
上は細長い雑居ビルがありそこから来たのか、と仕組み上は納得できる。
サイモンはビルの最上階に住むお得意様に出前にきていたのだが、静雄にとっては今はそんなことどうでもいい。
「サイモン…てめえ…」
サイモンが目の前に現れて自販機を止めたので、その事のせいで臨也はすっかり逃げて見失ってしまった。
「静雄、喧嘩よくないよ」
サイモンはいつも通り陽気に話すが静雄の怒りは収まらない。
「邪魔すんな!」
静雄がサイモンに殴り掛かるとスバルはサイモンが殴られてしまう!と目を閉じたが、サイモンはその拳を受け止めた。
「へ…!?サ…サイモンさん、すごい!」
これは頭に血が上っていつも落ち着くまで待つしかない静雄と止めるいいチャンスだと思った。
静雄は静雄で楽しくなってきたのか、何だか笑っていた。
するとまた、第三者の乱入を知らせるかの如くホイッスルの音がピピーーーー!と鳴り響く。
「騎士様の街を汚す荒事はこの私たちが許しません」
やってきたのは緑のロリータファッションに身を包んだ少女たち、今ネットでダラーズの次に話題の「庭師の乙女達」である。
スバルはその中にるる子の姿を捜したが、どうやら見当たらない様子だった。
「お、おい。今のうちに…」
この場がぐちゃぐちゃになった好きに逃げようという提案を正臣はするが、帝人は怖がって後ろに下がった杏里の手を取りどこかへ走り出してしまう。
「え!?嘘!?帝人ー!?」
置いて行かれて正臣が困惑している間にスバルはるいを後ろの建物の陰に連れ込んで隠れた。
「ってアレ!?るい達もいねえ!」
スバルは静雄とサイモンが取っ組み合いをしているならまだ良いが、チンピラと庭師が来たことでさらなる混乱とけが人がでるのではと考えた。
「ちょっ…スバルどうしたの!?僕らも2人のように逃げた方が…」