第13章 3.暴れ回る
「やぁスバルちゃん。こうして同じ制服の子が揃うと懐かしくなるなぁ」
臨也がふとスバルに声をかけると静雄は「なんで知り合いなんだ」というめで睨みつけてきたので、静雄からわざとらしく視線を外す。
そんなことをしている間にチンピラ風の男達は臨也と静雄を中心に囲んだが、高校生組は更にその真ん中で逃げ場の無い壁際に居た。
「てめぇ、よくも恥かかせてくれたな!」
ハゲにされた男はニット帽を被り、後ろの男は「ダラーズを舐めるとどうなるか…!」とお決まりセリフを言おうとしてやめた。
「…てか、バーテン服?」
この連中は臨也を目的にやってきたのだが、一緒にいるあの有名なバーテン服の人に気がついた様子。
「平和島…平和島静雄!?」
名前を呼ばれるとようやく囲んだ奴らの存在に気がついたかのように「なんだテメェら!」と不機嫌MAXでガンを飛ばす。
目の前に居るのがあの平和島静雄だとわかり、恐怖を前に冷静な判断が出来なくなった1人が大声を張り上げながら静雄の頭を棒で殴りつけた。
「静雄さん!」
静雄は頑丈すぎる男なのでそんなことでは大事にはならないと分かっていたスバルだが、思わず体が前に出る。
後頭部を抑えて体を震わせ、地面に静雄の頭から出た血が滴り落ちた。
近づいたスバルを手で制すると頭を上げた。
「お前今頭狙ったな…。打ちどころが悪けりゃ死んじまうってわかってるよなぁ。分かっててやったってことは殺す気だったなってことだよぁ…」
ここで平和島静雄も大したことないなと言う顔をしていた人達の表情は真っ青になる。
「じゃあ何をされても、文句はねぇよなぁ!」
殴りかかってきた男に振り返ると顔面に拳をお見舞いし、男は文字通り「飛んだ」。
「ス、スバル…あの人は何…?」
静雄という人を初めて見たるいは驚きのあまりスバルの後ろに隠れていた。
「静雄さんは、とっても優しい人だよ。ちょっと力が強いだけのね」
そして一瞬間が開いたと思うと、試合のゴングが鳴ったように静雄が動き始めた。
飛びかかった人を殴り、持ち上げ、ただ近づいてきただけの人も頭突きで制する。
その様子を見ただけでスバルの言う「優しい人」という印象は嘘だとるいの中で植え付けられる。
「じゃ、オツカレー!」
どさくさに紛れて臨也が退散しようとするが、そうは静雄が許さないのである。
