第13章 3.暴れ回る
「まあ、俺に女の子を傷つける趣味はないけど…」
その時、臨也の体が一瞬揺れたように見え何かが飛ぶような高い音が聞こえたすぐ後に1人のギャルのカバンの紐が切れてドサリと地面に落ちる。
「え…?」
見ていた全員が困惑しているとぶちまけられた荷物から携帯を拾い上げた。
「だから、女の子の携帯を。踏みつぶすことを趣味に、するよ」
そうして地面にポトリと携帯を落とせば心底楽しそうに笑いながら携帯をガンガンと何度も踏みつける。
「あ、頭がどうかしている…」
元々るいは出会った時から変な人だなとは思っていたがそんなどころの話ではない。
ドン引きしているるいの隣で正臣が「お前が関わってる男はああいうヤツなんだよ」と教える。
臨也は数回携帯を踏みつけているとピタリを脚を止めた。
「飽きちゃった。携帯を踏みつぶす趣味はもうやめよう」
そう笑顔で言うと目の前の変人に心底恐怖した3人は「ヒロシ!」と隣に居た彼氏を呼んだ。
「暴力?おお~怖い怖い!」
これまた頭がどうかしていそうな彼氏が出てきたかと思うと秒で煽った臨也に腹を立てて殴り掛かった。
「おおっとぉ!こうさ~ん!」
そういいながらもひらりと交わすと同時に、臨也は何かをしたような気がした。
すると殴り掛かった彼氏の毛髪が風と共に空気中にサラサラと飛んでいき、頭頂部が見事にはげた。
「い、今何を…。てか、ブッ…くく…」
るいが情報過多でとりあえず剥げた事について笑っていたらギャルも逃げ出し、「覚えてろよー!」と今日日聞かない捨て台詞も吐いて彼氏も逃げていった。
その後臨也も笑うと「妖怪、カマイタチ参上」と怪しく笑う。
「いやあほんと偉いよねえ。いじめられてる子を助けようとするなんて」
すぐ近くにあった植え込みに腰をかけて5人で話していた。
「え?」
いじめられていた対象の杏里が帝人をみると帝人は照れていた。
色々な事になってしまったが、元はそういう話だった。
「るい「ちゃん」の帰りが遅いから心配になっちゃってさ」
やけに「ちゃん」を強調してきたこの男は心にも無いことを言っているということはすぐに分かったので適当に相槌を打って流す。
「久しぶりだね、紀田正臣くん」
そう言われると「どうも」とは答えており、その後の会話も入学おめでとうとかまるで先輩後輩のやり取りだ。
