第13章 3.暴れ回る
するとギャルの子達の後ろに立っていた黄色いフードを被っていた奴がフード取る。
「YO you!俺のダラーズ仲間呼んでやっか、ワクワクしようぜ!」
「ブフッ…あ、いや失礼…」
思わず吹き出してしまったるいを正臣と帝人は見つめるが、幸いなことにあちらには聞こえていない様子だった。
「か〜、ここまでベタだと清々しいね」
いじめっ子の彼氏がチンピラで、その仲間を呼んでいじめてる子達を…というテンプレシーンを見せられて呆れる。
とはいえ知っている子がいじめられており、この先良くないことに巻き込まれる可能性があるシーンに出くわしているならいつまでも見ている訳にはいかない。
(さて、どう彼女達の間に新しいしこりを産まずに解決するか…)
恐らく各自その事について頭を回転させている時だった。
「いじめ?止めさせるつもりなんだ」
るいのよく見知った人物の声が後ろから聞こえた。
「…!」
立っていたのはるいと同居している折原臨也。にっと笑うと何も知らない帝人に肩を組む。
「えっあの…」
戸惑う帝人をこの人のペースに巻き込むまいと「ちょっと折原さんっ…」と掴もうとするも、するりと交わされてしまう。
何?何?と戸惑っている帝人を連れて杏里とギャル達の方へとズンズン進んでいってしまう。
(何だ…?何を考えているんだ…)
流石に近づけばあちらも臨也と帝人の方に視線も向ける。そのタイミングで臨也は帝人の背中を強く押し、杏里とギャル達の間に入らせた。
「何?」
そりゃそうだ。突然大人に連れられた同じ制服の子が間に入ってきたのだ。こうなれば練っていたお粗末な作戦もクソもない。
「いじめ、かっこ悪い。実に良くない」
帝人をぶち込んだ張本人にも関わらず臨也がストレートに言う。
「おっさんには関係ねーだろ」
おっさんと言われている点にまたるいは笑いそうになったが、頑張って堪える。
「ああ、君たちがここで殴られようが野垂れ死のうが関係ない。俺が君たちを殴っても。君たちがまだ23歳の俺の事をおっさんと言おうとも、君たちと俺の無関係は永遠だ…」
背後で正臣と傍観することになってしまい、2人で顔を見合わせたりあちらを見たりと交互に繰り返す。
「おっさんって気にしてんじゃん」