第13章 3.暴れ回る
帝人は何かを悩んでいるような、何かをずっと考えている様子だった。
(ダラーズのことを考えているんだろうけど、入りたいとか?そんな性格にはあまり見えないけど…)
正臣と2人でため息をつきつつ帝人を見守っていると、ふと正臣が公園の側を歩いている黄色い布を付けた人達に目をやっていた。
(カラーギャングねぇ…)
移動しようと歩いていると、突然前を歩いていた正臣が「お前の気持ちは分かる」と振り向く。
「電車に乗れば痴漢扱い!街を歩けば怪しげな勧誘!家に帰ればご近所トラブル!オマケにダラーズ首なしライダー…それが東京コンクリートジャングル!」
でかい声で何かを言い始めた正臣に、隣を歩いている女性達に笑われてしまっていた。
「正臣…」
恥ずかしさのあまり止めようとすると「だが!」と帝人を指さした。
「乗り越えろ!立派な池袋人になると誓ったのなら!この試練を乗り越えて見せるのだ!帝人!竜ヶ峰帝人!そしてついでにるいも!」
ぽかんと見ている帝人と、苦笑いのるい。
帝人が考えている事と、正臣が帝人が考えていると思っていることは違うのかもしれないが正臣なりの優しい配慮に思わず口元がゆるむ。
「それからナンパの時は明るく笑顔。笑顔だ」
どうやらまだナンパをする気でいたようで、正臣は優しいなという考えを撤回するるいだった。
「でも社会人をナンパするのはさすがに無理だと思うけど…」
最もな意見に「そうだそうだ〜」と適当に同意する。
「話しかけるの自体が目的だから良いんだよ」
そうして歩いていると帝人は何かを見つけたのか立ち止まる。
横を歩いていたるいもそちらのを見ると、何やら数人が話しているのが見えた。
それはるい達と同じ学校の来良の制服を着た3人のギャルっぽい子とチンピラ風の男。そして囲まれているのは帝人と同じクラスの園原杏里だ。
「あんたさぁ張間美香がいなくなってでかい顔してるみたいじゃない?」
「クラス委員になったんだって?」
そんな典型的ないじめを3人で物陰に隠れながら、一先ず様子を伺う。
「わ、いじめ。しかも物凄くベタな」
ベタすぎてすこし呆れるレベル。
「「でかい顔」なんて言う人初めて見たよ…」
「ここまでコテコテだと流石に怖くないかも…」
さてどうするか、と見ていると「彼氏、ダラーズなんだよ」というワードが聞こえた。
