第13章 3.暴れ回る
「スバルちゃん学校で弁当食ってないの?」
午後17時、スバルが昼食に合流したのは良いがトムは考えていた事を聞いてみる。
学校でとっくに昼食を済ませているはずだからだ。
「食べましたよ?でも育ち盛り?ですから。大丈夫ですよバイトも始めましたしお金は自分で払いますから」
トムにも慣れきったスバルは年頃の女の子らしく振舞っており、それくらいは出来るようになったと言わんばかりに自分の胸に手を添える。
だがトムはその様子を見て呆れのため息をつく。
「そういう問題じゃなくて、太るぞ」
ちょっと自分で金を稼ぐ様になったからって調子に乗って食に金を使おうとするスバルにストレートに思ったことを言い放つ。
するとスバルはムッとして「そんな事ないですよ!」とそれから自分が学校でした行動を話して、どれだけカロリー消費をしたと抗議を始める。
そんな3人の後ろに、学校に登校しなかった矢霧誠二が何かを探すように歩いていた。
(会える。必ず会える。俺の愛が彼女を呼び寄せてみせる…だが…)
矢霧誠二は迷っていた。迷いは無いはずだと言い聞かせながら。
先日学校にて園原杏里から呼び止められた際、それを見ていた同級生と思われる3人。
矢霧誠二は帝人と正臣、るいの事を思い出していた。
内1人、るいは今矢霧誠二が追いかけている愛する人であるセルティにそっくりな顔をしているのだ。
しかしるいは金髪のウィッグを被っていたので誠二の惚れたセルティでは無い事がわかる。
(俺にはもう俺を想ってくれる彼女がいる…)
幼少の頃に姉に祖父の部屋に入らせてもらって見た首だけの存在を愛した矢霧誠二。
その想い続けた首を、先日誠二にストーカーをしていた張間美香という女を殺害して首をすげ替えた。
誠二がセルティと呼ぶ人物になった女も、誠二を愛していると言う。
なのでここで顔が似ているだけの女が出てきた所ではぐれた彼女を諦めるという事はしないが、あまりにもるいが誠二の愛している首と似ているので気になって仕方がない。
(この気持ちを打ち消すために…早く彼女を見つけないと…)