第12章 2.一虚一盈
家主兼、雇い主の臨也もその様子にもるいが誰かをずっと捜し歩いている事も知っていた。
それが嫌いな嫌いな静雄の所へ転がり込んできた少女と、同時期に現れたるいとは共通点が無いとは思えなかった。
そこで臨也はスバルにした事をるいにもすることにした。
「ねえるい君、学校とか興味無い?」
るいは後悔していた。
うまい話しすぎるとは思っていた。
だが何か裏があるにしても。るいにはとても嬉しい話だったのでつい乗ったのだ。
蓋を開けば「折原るい」「頭の良い学校出」更には性別が「女」になっていた。
るいは抗議したが、間違えたの一点張りでこれを作るのには苦労したのでもう作れない「いらないなら破棄するから頂戴」ときた。
もちろん臨也はわざとだった。
るいは臨也の事を睨んでいるがここで臨也は決めの一手を突き付ける。
「君の探してる子、もしかしたらその学校にいるかもね」
臨也の予想通り、るいはその言葉にこれまでに無いほどの反応を見せた!
「それはどういう事ですか…!」
るいにとって、この世界でする事の第1目標であり1番の目的がスバル。
なので胡散臭くても情報屋の臨也から何としてでも聞き出そうと身を乗り出した。
「俺の昔からのなんて言うか、嫌いな奴の所に急に女子高生が出入りするようになってね。その子がその高校を受験するんだよ」
俺の提案でね、というのは言わないでおいた。
だが臨也の言っていることを疑っている余裕はない程にるいは希望に満ちた顔をしていた。
「スバル…スバル会える…」
るいは思わず変身道具であるネックレスを掴み嬉しそうにした。
臨也ははやりスバルのしていたブレスレットと似たテイストの物を持つこの少年も変な力を持っているのだと、確信に近いものを持つ。
「…予想外の駒はひとつに纏めて把握しておかなくっちゃね」
そんな臨也の独り言も聞こえないほどにるいは舞い上がって書類を確認していた。
「女」という項目をどうするのか頭を巡らせながら…。