第11章 1.いの一番
変身の姿は見られてはいけないので人気のない公園で変身するとセルティに言われた場所へ向かう。
池袋というのは本当に人が多いがコスプレして出かけるアイタタな人は数少ない為、少ない魔力を使ってビルの屋上をジャンプしつつの移動だ。
セルティと合流すると早速仕事の話。セルティが言うには指定された場所に少女を乗せているバンがあるので、少女を助けて指定した場所まで送り届けてほしいとのこと。
恐らくセルティの姿を見て少女を助けるのに余計な誤解が生まれては面倒なのでスバルを連れていくことにしたらしい。
(真っ黒の首の無いライダーよりはコスプレアイタタ少女の方がいいってか…)
「よろしくね」
セルティの愛馬に挨拶をしてひと撫ですると、セルティの後ろに飛び乗り、馬のような声をあげながらバイクは池袋の街へ消えていく。
「あれまだ来てねえや。おかしいなぁ」
自殺オフで相手の男のフリをして少女を拉致した3人の男達は少女を薬で眠らせた後、取引を予定している駐車場へやってきていた。
トランクを開けてのんきにタバコを吸いながらやってくるであろう「上の人」を待っていた。
しかし聞こえてきたのはエンジンの音でも人の声でもな、馬のような声。
「おい」
男の1人が車から降りてきて駐車場の出入り口を見るとそこにはバイクに跨っているヘルメットを被ったライダーと、コスプレのような恰好をした少女。
「あの…上の人っすか」
この3人の男にどんな理由があるかは知らないが、スバルは変な人たちと口をきいてはいけないと教えられているのでその返答はしなかった。
(まあ上の人っていうか、横の人っていうか。横槍だからね)
3人の男は「どう見ても違うだろ」などろ話しており、「つーか舐めてね」というとタバコを投げ捨てて車から鉄パイプを引き抜く。
この手の輩の武器は釘バット、メリケンサック、鉄パイプの3パターン。
「僕たちちょっとお取込み中なんで~」
攻撃してくるんだろうな、と思いスバルがセルティをチラッと確認するとバイクをウィリーさせていた。
「マジ…!?」
バイクの前輪を男の顔面にぶち当てて気絶させたかと思うとバイクを降りて2人目の眼鏡の男もさっさと片づけてしまう。
「…これ私いるかなぁ」