第1章 魔法少女
魔法少女ブレスレットは変身、魔法のステッキになるだけではない。
特定の魔法少女並びに、関係者(牛などのマスコット)を思い浮かべると通話することも出来る。
人が多いので少し寂れたビルの陰に隠れてブレスレットを顔に近づける。
「えっと…やっぱ牛か、傍に居ためるりだよね」
一先ず自分を担当しているマスコットのウッシーに通話を繋げることにした。
呼び出し音が3回したあたりでブチッと電話に出る音がした。早い。
『スバル!どこに行ってしまったのだ!?心配してるのだー!』
『え!今スバルと繋がってんの!!スバルどこだよ!』
大慌てだったことがわかる。特にめるりに関してはキャラ作りの「〜める」を忘れて素が出ている始末。
「それが、何故か制服姿でどっかの都会に放り出されちゃったみたいで…。携帯と財布はポッケにあったから何とかはなるかも」
自分の所有物を冷静に確認してるとウッシーは『スバルは冷静すぎるのだ!』と慌てている。
『でも何故かこっちからスバルに電話しても繋がらなかったのだ!何度も電話かけたのだ!』
………?スバルには何を言っているのかわからなかった。
ここに着て状況を整理するのに数十分は棒立ちをしていたので電話を何度もしたと言うなら気がつくはずだった。
どうやらめるりも何度かスバルに通話をしたが繋がらなかったという。
その後スバルの電話を切りめるりから掛けてもらったがやはりスバルのブレスレットはなんの反応も示さなかった。
なのでもう一度スバルから電話をかけると普通に繋がった。
『どーいうこと!?スバルからの電話は繋がるの!』
もう語尾など初めからなかったかのように喋るめるり。慌てすぎてるなぁと少し笑みが零れるスバル。
「そんなに焦らなくても、今からここがどこだか見るから迎えに来てよ。ちょっと遠そうだから電車賃がないと思うからさ…」
もし新幹線や飛行機での移動が必要な場所なら財布の中身が1万円ほどしかないスバルには難しい。
「どこかわかったらまた電話するから。繋っぱなしだとセボ○スターに話しかけてる変な人になっちゃうし」
そう言って繋げっぱなしにしろと言う2人を抑えて電話を切り、スバルは歩きだす。