第1章 魔法少女
夢魔は相当痛かったのか叫びとも言えない雑音を出しながら苦しむ。
子供を抱えている余裕が無いのか、手を離したのでめるりがその隙にと接近して子供を回収して離れる。
「……?様子がおかしい…」
いつもなら直ぐに黒い煙になって消えるはずなのに苦しんでいる時間が長い。
体が溶け始めたかと思うと黒い楕円形の大きな姿鏡のような形に変わった。
「なにめる?何だか何かの入口みたいな…」
どういったものなのか調べるためにめるりが近づくとその黒い物体は突然強い力で周りの空気を吸い始めた。
「!めるりー!」
めるりごと吸い込む勢いだったので咄嗟にスバルはめるりを突き飛ばす。
すると急に吸い込む力が強くなる。
「め、めるり!!」
まずいと思いめるりに手を引っ張ってもらおうと手を伸ばすが遅かった。
「スバルーー!!!」
スバルは黒い物体に吸い込まれてしまった。
気がついたスバルは雑踏の中に立っていた。
(そう、そうだ。夢魔の出した何かに吸い込まれて…)
スバルは魔法少女コスチュームに変身する前は休日なので当然私服だったのだが、なぜかいつも着て登校している制服を着ていた。
どこかにテレポートするゲートだったのだろうか?
こんな大きな街はスバルの住んでいた所の近くには無いのでテレポートだとすると相当遠くに飛ばされたことになる。
(まぁ死ななかっただけ良かったよね…)
スバルはまだこの時、自分がとんでもない所にいるとは知らない…。