第1章 魔法少女
向かってくる人を交わしながらウロウロと宛もなく歩く。
するとバス停らしきものが見えたのでラッキー!と現在の住所が書かれている所を探した。
「池袋の西口公園前……」
あたりを見るとすぐ後ろには大きい公園があり、何か演奏をする人を見ている人だったり遊んでいる人達だったりと日曜日の公園の風景があった。
「池袋ってことは…都会のど真ん中だ!?」
スバルが住んでいたのは愛知県の名古屋市の外れの方。
新幹線で移動して数時間の場所にスバルは飛ばされていた。
「すごいとこ来ちゃったなぁ…。出来ればちゃんとおしゃれして友達と来たかったよ」
池袋に来てしまったからと言って歩き回る元気はなく、ブレスレットからコソコソとウッシー達に連絡を取り迎えを頼む。
幸い適当に歩いた割には少し歩けば駅なので人の荒波に飲まれて迷子にならなければ合流できるだろうと、スバルは軽く考えて公園にあるポールにもたれかかりポッケから出した携帯で暇を潰すことにした。
「おい見ろ静雄、日曜なのに制服着て立ちんぼしてる子がいるぜ。ご苦労なこった」
昼食を済ませた2人組の男、田中トムと平和島静雄。
静雄がトイレに行っている間、先輩兼仕事の上司にあたるトムさんは西口公園の真ん中のポールにもたれかかって携帯を触る女子高生を見ていたようだ。
「そッスね」
特に興味もなかった静雄は相槌をして2人で次の仕事に向かう。
あれから数時間が経過した。名古屋から新幹線に乗っためるり(ウッシーはちょっと見た目的に新幹線に乗れない)はとっくに到着していてもいい時間なのに一向に来なかった。
「かけてみよう。そろそろ交通機関から降りてるでしょ…」
めるりに掛けてみるとまさかの1コールで電話に出た。早い。
『ちょっとスバル!言ってた西口公園のポールの所にいるけどスバル居ないじゃん!』
どうやらとっくに到着しているのに出会えていなかっただけのようだ。
辺りが薄暗くなり始めてスバルもさすがに不安に思っていたので少しほっとした。
「じゃああそこのバス停の時刻表のところまで行くから、来てね」
先程住所を見たバス停の時刻表。近くに似たようなものがないので丁度良い。
スバルは時刻表に手をつくような形で立ち、あたりを見渡す。
「ほら、見えたでしょめるり」
『……………どこにもいないんだけど』