第8章 新たな日常
一方的な戦いが早く終わらないかなと道の柱の裏に隠れていたスバルだったが、そこへ女性の声が聞こえてきた。
「貴方達、今すぐ暴力的な行為をお辞めになりなさい!」
静雄達の所へ「庭師の乙女達」がやってきたのだ。
率いるのは先日愛しの騎士様から体調の名を貰った女の子。
今日も今日とて街の掃除ということで喧嘩(一方的)を(強制的に)止めに来たのだ。
「あ?」
静雄が女の子達の方を見ると、相手が平和島静雄ということに気がついたのかギクリと乙女達はかたまる。
ヒソヒソコソコソと何かを仲間たちと話していると「ひ、怯むんじゃない!」と聞こえてくる。
(どこの何なのかわからないけど、大丈夫か…?)
ほぼ決着が着いていた静雄の相手達はこの好きに逃げろと言わんばかりに全員が逃げ始める。
ゴロツキ返し打ち率100%の静雄には見慣れた風景なのか、舌打ちをしながら見送っている。
乙女達は収めなければいけない争いが無くなったのでホッと一安心な様子。
「スバル」
何がしたかったのかよくわからなかった乙女達を差し置いて終わったぞと言わんばかりにスバルに声をかけた。
声をかけられたスバルはしゃがんで隠れていた場所から立ち上がると静雄の元へ行く。
「スバル・・・?」
乙女達の1人がスバルという名前に反応する。
「あの…。スバルって騎士様が探してる制服の女子高生の…」
しかしスバルはるる子に教えられていた「制服」という観点から外れており、数回写真で見せられて程度の記憶力では判断がつかなかった。
「…似ているけど、騎士様が愛している黒髪清純派女子高生の子ではないみたい。だってあのようなはしたない恰好をしているわ」
何よりスバルがこの街で手にしているギャル感のある服は彼女らのスバルのイメージではなく、似て非なるものとして切り捨てた。
乙女達がスバルのことについて話していると「んで、てめえらは何なんだ?」と高圧的に接近する。
(緑のロリータ…るる子さんは好んで着ていたような覚えがあるけど)
スバルがただの偶然か流行りなのか悩んでいる内に乙女達は静雄を恐れているのが見てわかる。
「い、いえなんでもありませんわ」
そういうと退くぞ!と言わんばかりに足早に人ごみに紛れていく。
メンバーの1人が携帯でスバルの事を撮影しているとも気づかずに、乙女達を見送った。
