第6章 居候です
突然握手をされたのでスバルは驚いて手が振り解けなかった。
その間に臨也はそれとなくブレスレットを確認した。
「…あの…」
スバルが困った顔で少し手を引くと「ごめんごめん」と手を離した時だった。
「お前何やってんだ?」
臨也の後ろから声をかけてきたのは帽子を被ったガッシリとした男だった。
どうやら臨也の知り合いのようで「やぁドタチン」と恐らく独特なニックネームでその現れた男に話しかけていた。
「その呼び方やめろ。それよりこんな時間帯に女子高生の手を握ってたら流石にやばいだろ」
どうやらこのドタチンという人はかなり、臨也よりは常識のある人のようだとわかりスバルは安堵する。
「やだなぁ未成年は俺の恋愛対象外だけど…」
笑いながらドタチンという人と話していたと思うとちらっとスバルを見る。
「…用は済んだし、今日は帰るとするよ」
何か含みがあるとしか思えない微笑みを見せると「じゃあねー!」とさっさと人混みに消えていく。
ドタチンはため息をつくとスバルに声をかけた。
「俺は門田京平。あいつとは同級生だったんだが、あの通り何を考えてるかわからん。できるだけ近づかない事だな」
ドタチン、改め門田はどうやら面倒みが良い体質のようで臨也の事を警告した後に「危ねぇから送ってってやるよ」と家の近くまで着いてきてくれると言う。
「そんな、悪いですよ」
今さっき会ったばかりで得体が知れないとかではなく、既に数回静雄と食事をして1人で帰宅するということをやっているので慣れていたのだ。
「じゃあ俺も行くのがこっちなんでな」
そういうと門田は結局スバルに着いてきてくれる様子だった。優しい。
「あ、あの。私は安中スバルって言います」
会話が無い事に気まずくなったスバルはそう言えば自分の名前は言っていなかったと思い、無理に会話を作る。
「ああ、お前があの「スバル」だったのか。なら臨也に目付けられるのも無理はねえか」
門田は何故かスバルを知っていた様子だったので、ついぽかんと門田を見てしまう。
「俺は静雄とも同級生なんだが、何やらネットに「スバル」ってJKが一緒にいるらしいって言うのをよく見て気になってたんだよ」
やはり静雄は有名人なようで、一緒にいる女子高生はそりゃ目立つ。
(服を買ってよかった…)