第6章 居候です
「じゃ、まだ仕事あっから。気ぃつけて帰れよ」
食事を終えるとスバルだけで家に帰る。これにも少し慣れてきた。
借金の回収をしている静雄は、夜仕事が終わってから出歩く借金をしている人達がいるので夜は中々忙しそうだ。
「はい。トムさんもまた」
トムも「じゃあな〜」と手を振ると2人は夜の池袋へ消えていく。
静雄と一緒に住んではいるが2人でおやすみなさいというのはまだ1度もないので余程忙しいらしい。
(仕事が忙しいのはいい事なんだろうけど、体がしんぱ……)
体が心配だと思ったが、静雄の体はスバルに怪我を負わせたように滅茶苦茶な体をしている。
「心配いらないかも」
どちらかと言うと、「平和島静雄と一緒にいる女子高生」というレッテルがあるからマシなものの池袋の街を歩いて帰るスバルの方が余程危険である。
先程スバルが通った店の前でも何やら黄色い帽子と喧嘩をしている様子もあった。
いつ絡まれるかわかったものじゃない。
と思った矢先だった。1人の男がスバルの前に現れた。
「やぁお嬢さん。会うのは2度目だね」
男は黒い服に身を包んだ、最初にスバルがここへ来て話しかけて来た人物。
そして何故か静雄はこの男を心の底から嫌いな様子だった。
「はあ。こんばんわ」
警戒しているとわかりやすかったのか「そんなに警戒されると悲しいなあ」と笑っている。
なんだか様子が変わっている人なので関わらずに、さっさと帰るが吉とスバルは判定した。
「あの、それでは私は洗濯があるのでこれで」
スバルは家にタダで家に居させてもらっているのはさすがに申し訳なさすぎると、少しばかりの家事を担っていたので嘘ではない。
「つれないなあ。いいじゃん、家主のしずちゃんは帰るの遅いんでしょ」
さっさと横を通り過ぎようとしていたスバルにわざと「しずちゃん」というのを出して脚を止めさせた。
(し、しずちゃん!?しずちゃんて何!?)
??という顔で見つめていると作戦成功と言わんばかりに笑う。
「俺の名前は折原臨也。君は?」
すぐにでも危害を加えてくるような人ではないと分かったし、真面目な性分のスバルは渋々「安中スバル、です」と返した。
「何度も異世界でやり直ししてそうな名前だね。よろしくスバルちゃん」
スバルの手をいきなり取ってブレスレットのある折れていない腕と握手をした。
