第6章 居候です
激安の殿堂から出てきた3人。スバルの手には服が入った袋があった。
「私の物なんですから、私が買うのに」
結局の所、スバルは1円も支払うこと無く終わったので世話になってる身としては納得がいかなかったのだ。
「まぁ後輩が面倒見てる子には出すのが先輩っつーか、上司っつーか?」
それもトムが半分以上払っていたので余計に申し訳が無い。
む…と口を尖らせているとトムに笑われた。正直な所2人のしている仕事を知った時は関わっても大丈夫なのかと思ったが、スバルにかなり良くしてくれているので疑った事が恥ずかしいくらいだった。
3人はその足で最初の目的地であった露西亜寿司へと向かう。
スバルは寿司を食べに行くとしか聞かされていなかったので店を前にして「えっとぉ…」とどこから突っ込むべきなのか悩んでいた。
「どうした」
立ち止まっているスバルに静雄が声をかける。どうしたもこうしたもない。
看板を見ながら微妙な顔をしているスバルを見て言わんとしていることを察した静雄だったが、説明が面倒だったので何も言わないことにして店に入る。
その後に続いてスバルも慌てて店に入った。
「らっしゃい」
店主と思われる明らかな外国人、というよりロシア人が寿司を握っていた。
(何が入ってるのかわからないお好み焼きに、更によくわからないソースをかけられた気分…)
何をどこから聞いていいのか分からなかったので。もうスバルは聞こうとしていた事を諦めて2人の隣の席につく。
「俺はアレ食うけど、お前はどうする」
静雄はスバルに何を食べるのが聞いたが店の情報を見るので精一杯のスバルは「静雄さんと同じもので…」と任せた。
「あいよ。というかその子は妹か?」
めちゃくちゃに流暢に日本語を話すロシア人にまたしても驚いたスバルは「あっと、えっと」と慌てている。
「訳あって俺の家で預かってる、みてぇなもんかな」
この数日で親しい人がスバルとの関係を聞くので段々この質問に飽きてきている静雄は少し面倒そうに答えた。