第3章 他人(ひと)ん家(ち)
暫くすると新羅の携帯に電話が入り「急患だ〜」とマンションを出ていく。
(出かける時も白衣なんだ…)
新羅を見送ったセルティはスバルに近づくと『ちょっといいか?』と話しかけてきた。
「はい、なんでしょうか」
(自分のせいではないが)治療してもらってここに居させて貰っている身なので雑用でもなんでも、体が大丈夫な限りなんでもすると答えるつもりで返事をした。
『何を隠している?』
かなり、ストレートな質問にスバルは絶句する。
「ええっと、ですね…」
チラチラと明らかに目を泳がせるとセルティは『無理にとは言わない。君にも事情があるように私もここにいることに事情がある』と話してくれた。
ここまでスバルはセルティの事をこの世界での夢魔で、友好的ではあるけど怖い存在なのではないかと思ったがこの文章で信用してもいい人物だと判明した。
「あなたは、「魔法少女」というものを知っていますか…?」
スバルは自分はどういう存在で、どういう経緯でここに居るかを話した。
セルティは表情こそわからないが、スバルの話を聞いた後に自分が「デュラハン」 という属に妖精と呼ばれている存在でスバル同様何故ここに居るかを話してくれた。
『まぁその、信じない訳では無いが自分以外の神話上というか信じられていないものの存在と会ったのは初めてで…』
何やらあたふたしている様子にスバルは少し「可愛い人なんだな…」と思っていた。
「セルティさんも、私に姿を見せてくれていますから私もお見せします。ちょっと怪我でちゃんと出来るかわからないんですが」
治療をした時にスバルの財布、携帯とブレスレットは出されて制服のブレザーと一緒に置かれていた。
折れていない方の手に付けて、リビングに立った。
(痛っ…でも、あまり人に見られたくなかった変身もこの人になら見てほしいって思う自分がある…)
体は痛むがそれよりもセルティという人知を超えた存在に自分も人知を超えた存在であると見て欲しかったのだ。
「光が強いので気をつけてくださいね」
そう声をかけるとセルティは分かった、というように戸の裏に隠れてこちらを見ていた。
(可愛いなこの人…)