第3章 他人(ひと)ん家(ち)
『ルイ!スバルの事を探そうと必死になって夢魔退治してくれてるみたいだけど、まだそう時間も経ってないし今日はもう現れないかもしれないわよ』
所変わって、こちらはスバルの元いた世界の日本。
「大丈夫だよ、僕は若いし体力もある。何より大丈夫そうとはいえスバルが心配だし可愛そうだ」
彼の名前は吉川(よしかわ)ルイ。14歳の男子中学生。
先日夢魔の中に入り別の次元へとワープした安中スバルをこちらの世界へと戻すために必死になっていた。
あれから数時間、ワープを作る夢魔が現れないかとずっと他の人の担当の地区に侵入してまで現れた夢魔を倒していた。
(スバル…僕が必ず助けてあげるから…)
首にかかっているセボ○スターのようなデザインのネックレスを握り、祈る。次の夢魔で何か解決してくれと。
『全く、ほら次の夢魔の出現の予測が出たイヌ。県を跨ぐから早く行った方がいいわよ』
ルイのマスコットであるイヌのワン1(ワン)は予測を示してくれる懐中時計を見ながら、なんだかんだとルイに教えてくれる。
「ありがとうワン1。じゃあ超特急で向かうよ」
自分のネックレスを握り、変身の言葉を言う。
「魔法少女めるり、マジカルチェンジ!」
翌日、時刻はもう昼を過ぎている頃にスバルは目が覚めた。
痛みは新羅という人が何かをしたのかあまり感じなかった。
昨晩はリビングのような場所で寝かされていたが、何やら別の部屋に移されたようで静かだった。
「さすがにトイレ行きたい…」
他人の家で勝手に動き回るのは良くないと思いつつもスバルは気合を入れて痛みに耐えながら起き上がる。
幸いなことに足に大きい怪我は無いのでなんとか歩けそうだった。
ソロソロ…と戸を開けて辺りを見渡すとリビングであろう方角から声が聞こえてきた。
何やら新羅は誰かと話しているようだが、その誰かの声は聞こえないので電話だろうか?と思った。
壁を伝ってそちらに向かうと昨日と同じく白衣の新羅が茶を啜っていた。
「お、おはようだねスバルちゃん」
ニコと微笑んでくれる様子に、不安な気持ちが少し消される。
心配は電話をしてると思ったが何やらソファの方に誰かいる様子だった。
「君に紹介をしよう。あまり驚かないでくれると助かるんだけど……」
新羅は湯呑みを置いてそちらの方に歩いた。