第3章 他人(ひと)ん家(ち)
時刻はとっくに0時を過ぎて日付が変わり、深夜の2時。
新羅と静雄は名前を名乗った後に何があったのかをスバルに教えた。
そしてスバルの個人情報を見たという事、何よりスバルを巻き込んでしまい本当に申し訳ないと。
「嫁入り前のっつったらアレだが、顔に傷も作っちまった。金…?はそんなにある訳じゃねえけど、出来ることならすっからよ…」
しおしおになっている静雄をニヤニヤと見ている新羅にスバルは2人がどう言う関係なのかは知らないが、少々不謹慎だと思った。
しかし、スバルはこの世界でブレスレットから電話を繋げば魔法少女仲間達と連絡が取れるとはいえ頼れる人は誰もいない状態だった。
ここで人の繋がりが出来たことはかなり大きい。……………代償がでか過ぎる気もするが。
(どういう人なのかわからないけど、悪い人達じゃなさそうだね)
ぼやぼやと考え事をしていると新羅が話しかけてくる。
「スバル…ちゃん?かな。骨折と頭の傷以外にも転倒した時の傷とか、捻挫とか打撲とかで動くのは辛いだろうし今日は泊まった方がいいね。面白い様子の静雄も見れたことだし」
小学生からの友人の弱味と借りをゲットした新羅はご満悦の様子だったが、それに対して怒りが爆発寸前であろう静雄の顔は見ないことにした。
「ありがとう…ございます…?」
実際のところ今日は色々ありすぎてヘトヘトだったので大変有難かった。
安心したのかスバルはそのまま眠りに落ちる。今日の出来事は全て夢で、目が覚めたらいつもの自分のベッドで起きることを信じながら…。
「で、どうするのこの子」
「本当にお嫁さんに貰った方が丸く収まるんじゃないのー?」と笑う新羅に殴りかかりたい衝動を持っていたコップを握りつぶす事で何とか抑えた。
「明日仕事が終わったら来る。そん時こいつがどう言うかだな」
結局 2人はスバルが何故あの場にいたのか、何処へ向かおうとして居たのかは何も知る事はできなかったので翌日にする事にした。