第2章 違う日本
真っ黒な男性、もとい折原臨也は人間らしくない人間は自分のゲームから排除しようという思考があった。
予測がつかないので面倒なのが理由の一つ。
なので少女から話を聞いて把握しようとしたのだ。あわよくば駒の一つにしようと。
しかし邪魔が入ってしまった。
「あーあ、なんでこう広い街でピンポイントで会っちゃうかなぁ」
折原臨也の嫌いな相手、平和島静雄の放った蹴りは上手く受身を取ったものの吹っ飛ばされてしまった。
今すぐ適当にやり過ごしておさらばしたい所だったが、あの変な力を持った少女にいつ会えるのか分からなかったのでこの機会を逃したくはなかった。
「お前が何の目的で何をしてるのかなんで俺には関係ねぇ。俺がお前に言えることがあるとすれば「死ね」だけだ」
平和島静雄はそう言いながらコンビニのゴミ箱を持ち上げて、折原臨也に近づく。
「見逃しては…くれなさそうだな」
平和島静雄から逃れ、かつ女子高生から話を聞くにはどうしたらいいのか考えようとした瞬間には折原臨也めがけてゴミ箱が投げられていた。
その時、悲劇が起こってしまった。
スバルはなんだか因縁のありそうな二人で、喧嘩になりそうな雰囲気だったのでさっさとトンズラしようとコソコソと移動していた。
「よっ!と!」
平和島静雄から放たれたコンビニのゴミ箱は嘘みないなスピードを出しながら折原臨也へ向かっていったが、慣れたものでひょいっと避けた。
ガンッッ!!!
コンビニのゴミ箱は壁や地面に接触したのと違う音を立てた。
「きゃーーーー!!」「おい!大丈夫か!?救急車ー!!」
投げられたゴミ箱はその場から逃れようとしたスバルに直撃したのだ。
野次馬をしていた人々がスバルに駆け寄って行った。
「あーあ、俺は知らないからねー!」
折原臨也は騒ぎの最中にひらりと人混みに紛れて姿を消した。
ゴミ箱を投げた張本人の平和島静雄は急いで少女に駆け寄った。
平和島静雄を知らない人の方が珍しいこの街では、駆け寄って来た静雄に道を開ける。
「おい!大丈夫か!おい!」
頭から血を流すスバルへ呼び掛けると「うぅ…」と小さく唸ったので、生きている事を安堵すると少女をかつぎ上げる。
急いで知り合いの医者に見せに行くためだ。
「…ちっ…」
少女にどう謝罪しようと考えながら、平和島静雄は走った。