第2章 違う日本
時刻は午後21時。
早くも母の手料理が恋しくなりながも安くて済むものを探す。
「やっぱり牛丼か、コンビニかなー…」
そう考えながら人工的な光で明るい夜道を歩いている。
やはり都会。こんな時間に女子高生が1人で歩いていれば当然変な虫が寄ってくるので頑張って交わしたり人混みに紛れて逃げたりする。
「こんなこと一晩中続けてられないね…。早く食べて適当なところに入ろう」
席に座って食事を取るのは諦めてコンビニに向かう。
おそらく制服も良くないのだろうなという様子だった。
コンビニに入るとピークを過ぎたのかあまり美味しそうなものは残っておらず、棚の空きが目立った。
(おにぎり2個と、お茶くらいかな…でもちょっとお菓子も欲しいかも)
安く済ませたいがやはり女子高生なので欲望には弱い。
鮭おにぎりと梅おにぎり、コンビニのブランドのロゴが入った緑茶とお菓子を1つを購入した。
コンビニの出入口から少しだけズレて、店の明かりを頼りながらの夕食を取る。
おにぎりを食べながら思う。
(今は都会だから夜でも開いてるお店が多くて助かっているけど、このままなんの手がかりもなくあっちに帰れなかったら経済的にも都会を離れることも考えなくちゃ…)
そう冷たい米を流し込むためにお茶に口をつけた時だった。
「君その制服、愛知の高校のでしょ?家出少女ってやつ?こんな所で1人で居たら声掛けてって言ってるようなものだけど?」
突然隣から話しかけて来たのはなんだか全身が真っ黒の若い男だった。
「いや…はぁ…」
質問に質問を重ねられて微妙な反応しか返せなかったスバル。
「大丈夫〜?明らかに君家出にしては物を持って無さすぎるけど……良かったらちょっと話を…」
なぜだかよく話しかけてくる男が面倒な話題を持ちかけようとした時だった。
突如、目の前に居た黒い男性が数メートル横に吹っ飛んだのだ。
「…………へっ………えっ!?」
一瞬男性が勝手に横に吹っ飛んだと思ったのだが数秒後に「誰かに蹴られて吹き飛んだ」というのを理解した。
スピードが早すぎたのだ。
「い〜ざ〜や〜くぅ〜ん」
スバルの近くに蹴りを放ったのであろう金髪でバーテンの格好をした男性が立っていた。
「なんでテメェがこの池袋で、女子高生口説いてんのか知らねぇけどよぉ。殺されてもいいってことだよなぁ!?」
