第2章 農業生活二日目
大興奮の私に、とびきり甘い笑顔を見せてくれたリヒト。
「ありがとう。でも、これは莉亜が作る野菜に少しだけ手を加えただけ。だから、凄いのは莉亜の方だよ。」
謙虚だよ・・・。
「どう?僕をお婿さんにするの。いい物件だと思うんだけど。」
キラキラスマイルで、とんでもないことを言うリヒト。
「えっ・・・お婿さん?」
不意打ちで、今の私は顔が赤くなってると思う。
「フフ、莉亜は本当に可愛いね。」
このイケメンに、勝てそうにない。そう悟った。
「でも、リヒトさんって結婚願望とか無いって。」
「無かった・・・もう、過去形だけど?だから、莉亜が僕を選んでくれるように頑張って口説くから。」
「は、はい・・・。」
とても、嫌とか言える状況じゃない。
さて、気を取り直してサンドイッチ。つい、踊り出しそうになった。いや、踊らないけど。見た目はシンプルな卵サンド。でも!!
「美味し過ぎて、魂抜かれそう・・・。」
リヒトが目を丸くして、笑い出した。
「ありがとう。ん?このハム・・・。」
リヒトは、ハムの方を口にしていた。見覚えのあるものだ。私が作業場で作ったボンレスハム。ゲームの中でだけど。
「莉亜、このハムってどこのもの?」
「材料なら、隣り村ですけど。」
その言葉に、リヒトは私を見詰めた。
「ねぇ・・・このハム、莉亜が作ったの?」
「そうですけど・・・ダメ、でした?」
あれ?何か、固まった?
「覚悟してて。」
「えっ?覚悟って何のです?」
「絶対、僕をお婿さんにして貰える様に口説くから。」
何か、リヒトの導火線に火を付けてしまったらしい。
冗談で済ますには、無理な雰囲気。何か、変な汗が流れて来る。
「大丈夫だよ?僕は釣った魚に餌も愛情も注ぐから。」
大丈夫の意味が分からない。
「食事が終わったら、何をするの?」
「野菜の採取をしようかと思ってます。後は、温室の様子見くらい。お昼からは、ちょっと出掛けます。」
昨日見つけた釣り竿。これも、私が作ったレベルMAXの竿。畑から直接川へと下りられる。
「同伴していいかな?」
「別に構いませんけど、釣りですよ?」
どうやら、釣りは嫌ではないらしい。
後片付けを一緒に終えては、やって来ました畑。リヒトと共に、季節の野菜を採取。見た目にも美味しそう。