第2章 農業生活二日目
二日目の朝。
スプリングクーラーの音で目覚めた私。どこからか、いい匂いが漂ってくる。そこで、目を見開いた。
そうだった。同居人がいる。慌てて身支度して、キッチンへと向かった私。そこには、ラフなシャツとスリムなパンツにエプロン姿のリヒトがいた。
「おはよう、莉亜。」
そう言えば、リヒトの年齢を聞いて、年上だったから敬語は止めて貰った。その方が、馴染み易いと思って。
「おはようございます、リヒトさん。すみません、遅くなって。」
「そんな事ないよ。気にしないで。」
朝からキラキライケメンスマイル。眩しいっ!!
「何かやりましょうか?」
「じゃあ、サラダ頼もうかな。」
冷蔵庫から数種類の野菜をチョイス。無意識に、ラディッシュを齧っているとリヒトが隣りで口を開いた。
「僕も食べてみたい。」
所謂、あ~ん状態。おずおずと一欠けら口の中に入れてみた。
昨日のケビンとは違い、蕩ける顔が綺麗だ。本当に美しい。ごめん、ケビン・・・。
「莉亜の作る作物は、本当に美味しいね。」
私もそう思う。ちぎったりカットしただけの野菜サラダなのに、何でこんなに美味しそうに見えるのだろう?
それに、現実でこの豊富な種類の野菜サラダは、きっと高額になると思う。贅沢感満載だ。
「ドレッシングは、好みある?」
「何でも好きです。」
「じゃあ、紫蘇があるからそれベースで適当に作るね。」
流石、料理人だ。手際もいいし、包丁さばきも流石。
「僕からすれば、ここの冷蔵庫って宝箱みたいだよ。材料を見て、気持ちが昂るんだ。」
料理人の鏡みたいな人だな。
「でも、本当に勝手に使わせて貰って良かったの?」
「構いませんよ。」
「本当に料理人冥利に尽きるんだ。」
ドレッシングを掛けてくれて、混ぜ合わせてくれた。何か、サラダですらキラキラしてる。
「外で食べない?」
「いいですね。」
リヒトが作ってくれたサンドイッチと具沢山の野菜スープ。そして、野菜サラダを持って、オープンテラスへと運んだ。
「いい景色だね。風も気持ちいいし。」
風に吹かれているリヒトは、とても綺麗だった。
「いただきます。」
早速口にしたのはスープ。見て目でロックオンした。
「っ!?美味しいっ!!凄く美味しいっ!!!野菜もキノコも卵も甘い。リヒトさん、すっごく料理上手。」