第15章 農業生活十五日目
「あぁ、それでいい。」
「では、交渉成立ですね。後、焼け跡の片付けもお願いします。さて、要望ですね。」
リヒトはメモ用紙を持って来て、考えていた案を書き出した。段々と、顔が引き攣っていくジルド。私は、申し訳なさでいっぱいだった。
「お店の部分だけジルドさんが負担してください。それ以外は、僕が費用を出しますので。」
「そ、そんなことさせられるか。いいから全て任せておけ。」
「そうですか。では、お言葉に甘えさせて貰います。」
引っ込み付かなくなったんだな・・・ジルド。本当にいいのだろうか?もう、半分泣いてない?
ルディは・・・どうなったんだろう?それに、彼女のこととかあの観光客のこととか・・・。ルドも大変だなぁ。
そう面識は無かったけれど、あんな我儘で自分本位なキャラだったっけ?必要最低限しか関わってこなかったから、思い出しようもないけれど・・・。
ん?いつの間にか、リヒトにキスされてる。
「誰の事、考えていたの?」
「えっ・・・どうして分かるの?あ、ジルドさんは?」
いつの間にか、ジルドの姿は無かった。
「帰ったよ。明日から、早速始めて貰う事になったから。で?」
「ルディはどうなったの?」
「しかるべき場所でしかるべき処分をされるだけだよ。」
この村に、そういう場所は無い。つまり、街に連行されるのだろう。建物一軒を全焼させたのだから。
「あぁ、それと・・・彼女とは別れることになるだろうし、好きに遊んだ観光客は示談になったみたいだよ。」
それは、ルドの尽力の賜物だろう。でも、本人はどう思っているのだろう?
「ルディは、もうこの村には戻れないよ。僕がそう望んだから。だって、莉亜に良からぬことするかもしれないでしょ。」
ここまで来ても、自分の望みと言いつつも私のことだ。もっと、自分を大事にして欲しいんだけど。
「ここまで話したんだから、もう、ルディのことは忘れて。いいね?」
「うん。」
「それで、何か予定は?」
「散歩でも行かない?気分転換に。」
散歩と言いつつ、私はショルダーバック持参。野草とか何かあった時の為の鞄だ。それを見て、リヒトは笑っている。そんなリヒトの手を掴み、裏山へと散歩と言う名の採取へと出掛けた。
春の風ひ吹かれて、リヒトの水色の髪が揺れている。キラキラしていて、とても綺麗だ。