第15章 農業生活十五日目
散歩と言いながらも、そこそこハードな運動となった。時折、リヒトの顔を見れば、いい笑顔で微笑み返してくれる。
少しは気分転換になっただろか?
「フフ・・・。」
不意に、リヒトが笑った。嬉しそうに。
「も、もうっ・・・私の頭の中、お見通し?」
「そんな事はないけど。でも、莉亜の頭の中に僕がいることが嬉しい。いつもそうならいいのに。」
リヒトにも、少しずつ大切なものが増えていくといいなと思う。
「そろそろ帰ろうか。冷たい風も出てきたし。」
自宅に戻るなり、私は作業場のワインセラーからチェリー酒を持ってきた。私が飲みたいと言ったら、リヒトは折れてくれた。
そして、心配するリヒトの思った通りの結果になった私。要は、酔っぱらいました。夕食後にも関わらずに・・・。何で、このチェリー酒一番アルコール度数が高いんだろう?
なのに、甘くて美味しい。そりゃあ・・・飲み過ぎちゃうよね?仕方ないことだよね?リヒトは一口飲んで感動していたようだったけど、私は一杯目でもう出来上がってしまった。
「酔っぱらってる莉亜、可愛いよ。食べてしまいたい。うん、食べちゃおうかな。」
酔っぱらっている私を見たリヒトは、私に酔っているようだ。ベタベタと触って来るし、たくさんキスしてくるし。腕の中から、放してくれない。
きちんと酔いつぶれた私は、リヒトの溺愛の中、リヒト腕の中で意識を飛ばしてしまった。
「このチェリー酒は危険だな。僕ですら、変なアドレナリンが出てる気がする。莉亜は正しく酔っぱらって、僕にいっぱいキスしてくれたことは嬉しかったけど・・・。そのまま夜伽にもっていけないのはいただけないなぁ。」
小さく笑い、口付けを落とす。
「僕の婚約者は、僕を何処まで幸せにしてくれるんだろう。僕は少しは莉亜に返せられているのだろうか?莉亜の笑顔が僕がいることによってもたらされているとするなら・・・これ以上の喜びはないかもしれない。」
「リ・・・ヒト?」
「僕なら傍にいるよ。ほら、抱いててあげるからおやすみ。」
安心した様に再び眠りにつく。その直ぐ隣りで、大事そうに抱き締めながら同じように目を閉じた。